◆都内で会見後、新幹線に飛び乗り
立憲民主党の代表選に立候補した野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、当選1回の吉田晴美衆院議員(52)の4人は立7日夕、名古屋市内で街頭演説を行い、それぞれ「政権交代を実現する」と声をそろえた。都内で立候補の届け出や共同記者会見を終えた4人は慌ただしく新幹線に乗車。名古屋・栄でマイクを握った。 野田氏は「星野仙一さんは監督として4回ジャイアンツをやっつけた。われわれにも政権を止める千載一遇のチャンスが来ている。政権をとる先頭に立つ」と意気込んだ。 枝野氏は「今こそ人間中心の経済をつくることで、日本はもっと成長できる。人口が減っていく日本では一人ひとりが力を最大限発揮してもらうことなしに社会も経済も成長するはずがない」と強調した。 泉氏は「これまでの野党は与党を監視する役割だったが新しいイメージをつけたい。経済も産業も伸ばしていきたい。特に伸ばしたいのは脱炭素。環境産業だ」と地域柄を踏まえて政策を提案した。 吉田氏は「山形県の小さな八百屋に生まれ育ち、政治とは縁がなかった」と自己紹介。「私の中心にあるのは教育。生まれた地域や家庭環境にかかわらず、自由で寛容な教育をつくりたい」と力を込めた。 4人は今後、宇都宮や岡山、徳島各市など全国10カ所で開く演説会や討論会に臨む。11日には能登半島地震で被災した石川県を訪れる。 23日に臨時党大会を開き、新代表を選出する。任期は2027年9月末まで。◆4氏熱弁、盛り上がりに課題
秋にも見込まれる衆院選の前哨戦とも言える立憲民主党の代表選。7日の告示当日に当選1回の女性が滑り込みで立ち、元首相、前・現代表と合わせ多様な顔ぶれとなった。候補乱立で注目が集まる自民党総裁選に埋没しないよう、初日は名古屋市内で声を張り上げたが、政権交代に向けた雰囲気づくりという点では課題も浮かんだ。 名古屋市内での街頭演説で、前代表の枝野幸男さん(60)が「政治腐敗を一掃する」と口火を切ると、現代表の泉健太さん(50)、1期生の吉田晴美さん(52)や元首相の野田佳彦さん(67)も次々と政権交代への強い訴えを繰り返した。 演説に耳を傾けた岐阜市の会社員で党サポーター(協力党員)の河合未来さん(47)は「吉田さんや泉さんのフレッシュな感じが良かった。吉田さんの自己紹介から入ったところは親近感を感じた」と評価した。 名古屋市北区の会社員男性(30)は自民党派閥の裏金問題について「物価高や賃金が上がらず苦しい生活の僕らが10円、20円で必死に生活する中で100万円、200万円を平気で懐に入れる議員を許してはいけない」と憤り、立民に「野党を結集する中心的な役割になってほしい」と期待した。 ただ、足を止めて熱心に聞き入る聴衆はそれほど多くはない。河合さんは自民党総裁選と比べ「かすんでいる。引きつけるオーラをもっと期待したいし、前の政権交代のようなうねりをもう一度みたい」と奮起を促す。立民所属の地方議員は「事前に党員やサポーターに街頭演説を告知していない。せっかく全国遊説の1カ所目なんだから、もう少しにぎやかにしたほうが良かった」と苦々しそうだった。 その後、市内のホテルに場所を移した討論会では、事前に愛知県連から出席者確保の要請がかかっていたこともあり、会場は約200人の席がぎっしり。「他党との連携はどうするのか」「男女の賃金格差の是正を」など来場者から候補者に熱心な質問や要望が飛び交った。(多園尚樹、安福晋一郎) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。