宜野湾市長選で当選が確実となり支援者らと万歳して喜ぶ佐喜真淳氏(中央)ら=沖縄県宜野湾市で2024年9月8日、喜屋武真之介撮影

 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市の市長選が8日、投開票され、元市長で無所属の佐喜真淳(さきまあつし)氏(60)=自民、公明推薦=が、玉城デニー知事が支援した元市議で無所属新人の桃原(とうばる)功氏(65)=立憲民主、共産、社民、地域政党・沖縄社会大衆党推薦=ら2人を破り、3回目の当選を確実にした。市長だった松川正則氏が7月に急逝したことに伴う選挙。政府が進める普天間飛行場の名護市辺野古移設を容認する保守系の市政が継続する。

 佐喜真氏は2012年から2期6年、市長を務めた。18年と22年の沖縄県知事選に挑み、いずれも玉城知事に敗れた。市長として6年ぶりに再登板する。

 選挙戦は佐喜真氏と桃原氏の事実上の一騎打ちとなった。佐喜真氏は自らの市長時代に副市長を務め、後継の市長となった松川氏の「遺志を引き継ぐ」とアピール。集会や出陣式に喪章を付けて臨むなど「弔い合戦」を演出した。

 佐喜真氏は過去2回の知事選では辺野古移設問題の争点化を極力避けてきたが、その後の移設工事の進展を受け、今回は移設を容認する立場を明確に打ち出した。市政の「最大の課題」として普天間飛行場による基地負担を挙げ、負担の早期軽減のために返還期日の確定や、所属機や訓練の県外への分散移転などを政府に求める考えを示した。

 自民・公明の国会議員や地方議員、保守系首長らも企業や団体の票固めに動き、6月の県議選で自公が大勝した勢いにも乗って優位に戦いを進めた。

 一方、桃原氏は辺野古移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄」が擁立した。16年以降の市長選で「移設反対」を前面に打ち出した候補が連敗してきた経緯を踏まえ、桃原氏は移設問題よりも、子育て支援策や労働者の賃金アップに向けた政策を訴えの主軸にした。しかし、佐喜真氏と重なる政策が複数あったことに加え、知名度不足や短期決戦の影響も響き、訴えは十分に浸透しなかった。

 磁気探査会社代表で無所属新人の比嘉隆氏(47)は、新型コロナウイルスのワクチン接種反対を訴えたが、及ばなかった。

 投票率は53・27%で、知事選と同一選だった22年の前回選(63・49%)を10・22ポイント下回った。当日有権者数は7万7646人。【比嘉洋、喜屋武真之介】

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