【ワシントン=秋山裕之】日米フィリピン3カ国の首脳は11日(日本時間12日午前)にホワイトハウスで会談した。共同文書をまとめる。南シナ海における中国の危険で攻撃的な行動に深刻な懸念を表明する。重要物資について中国に依存しすぎない供給網づくりをめざす。

日米比3カ国による首脳会談は初めて。

民生用の原子力に関する知識を持つ人材育成で協調する。フィリピンではIHIや日揮ホールディングスなどが出資する米新興企業のニュースケール・パワーが次世代原発「小型モジュール原子炉(SMR)」の建設を想定する。

半導体のサプライチェーン(供給網)確保へ人材育成に取り組む。フィリピンの学生が日米の主要な大学で高い水準の研修を受けられるようにする。電気自動車(EV)の電池に欠かせないニッケルを念頭に重要鉱物の安定した供給網づくりを進める。

海洋安全保障の協力も柱だ。米高官は記者団に中国の危険行動を踏まえ「バイデン大統領と岸田文雄首相からあらゆる場面でフィリピンを支援する用意があり、マルコス大統領に明確な支持と決意を伝える」と述べた。

民間漁船や海警局の船舶を使って海洋進出を図る中国の「グレーゾーン戦術」に結束して対処し、抑止力を高める。台湾海峡の平和と安定の重要性を話し合う。

オバマ政権当時にアジア外交を統括したダニエル・ラッセル元国務次官補は「日米がフィリピンへの大規模投資にも焦点を当て、繁栄のためのパートナーと位置づけていると同国民に示すことになる」と評価する。

南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島のアユンギン礁近くでは中国船がフィリピンの船舶に衝突したり、放水銃を使ったりして緊張が高まっている。

【関連記事】

  • ・日米フィリピン、原発や半導体協力 首相インタビュー
  • ・日比外相会談を米で開催 上川氏「海洋秩序守る」
  • ・日米豪比、南シナ海で初の訓練 首脳会談で定例化協議

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。