自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、出馬表明した高市早苗経済安全保障担当相が送付した「リーフレット」に疑問の声が相次いでいる。党は今回、政策パンフレットの送付禁止の期間を告示前にまで拡大。リーフレットに「総裁選」という言葉はなく、高市氏側は「国政報告レポート」として発送したと説明するが、出馬記者会見で掲げた政策と似通っており、SNS(ネット交流サービス)上では「問題ないのか」との声が出ている。
毎日新聞が関係者から入手した封書(写し)によると、送信元は「自民党奈良県第二選挙区支部 支部長 高市早苗」となっており、「リーフレット在中」と記されていた。「ゆうメール」の表記もあった。
文書(同)はA3サイズの両面2枚で「早苗代議士の国政報告レポート」と題されていた。党員のもとに届いたのは高市氏が出馬表明の会見を開いた9日だったという。
文書では総裁選での高市氏のスローガン「日本列島を、強く」が記され、安全保障政策や省庁再編、経済成長戦略など出馬会見で掲げた政策と同様の内容が掲載されていた。冒頭で「党務に携わることができる立場になりましたら」と前置きし、抜本的な党改革を断行するとしたが、総裁選については一言も触れていない。
派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、党総裁選選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は、「カネのかからない総裁選」を掲げており、政策パンフレットの郵送や自動音声(オートコール)による電話作戦など八つの行為を告示前から禁止している。
高市氏の事務所関係者は、リーフレットの送付について「総裁選のリーフレットではなく、国政報告レポートとして、事務所で管理していた宛先に送った」と説明。送付時期については「お盆前から準備していた。送付がこの時期になってしまったのはよくなかった」とした。
リーフレットが届いた東京都内の党員は「いつもは届かないのに、なぜ今回は届いたのかわからない。総裁選を意識したのではないか」と話す。千葉県の党員は「高市氏の主張には共感するところもあるが、このやり方は問題ないのか心配だ」と述べた。【遠藤修平】
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