自民党総裁選と立憲民主党代表選を前に記者会見で心境を語る拉致被害者家族会の横田早紀江さん(中央)=東京都千代田区で2024年9月11日午後5時40分、幾島健太郎撮影

 自民党総裁選と立憲民主党代表選での論戦について、北朝鮮による拉致被害者の家族らが11日、東京都内で記者会見を開いた。横田めぐみさん(行方不明時13歳)の双子の弟で、拉致被害者家族会代表の拓也さん(56)は「拉致問題に触れる方が極めて少ないことに大きな不安を感じている」と危機感を示した。

 家族会などによると、総裁選や代表選を前に家族らが会見を開くのは初めてという。9月初旬に、めぐみさんの母早紀江さん(88)が「自分が生きている間にめぐみちゃんに会える自信がなくなりつつある」と口にしたことを踏まえ、思いを伝える場を設けた。

 この日の会見で早紀江さんは総裁選と代表選について「『拉致をなんとかしなければこの国はダメだ』ときちんと口に出していってくれる人が誰一人としていない。本当に悲しい」と憤りを見せた。

 そのうえで「早く助けてくださいと絶叫するような思いでいるに違いない被害者のことを自分の頭の中に思い描いてほしい。もっと真剣に拉致問題をとらえてほしい」と強調した。

自民党総裁選と立憲民主党代表選を前に記者会見で心境を語る拉致被害者家族会の横田早紀江さん=東京都千代田区で2024年9月11日午後6時4分、幾島健太郎撮影

 めぐみさんの弟で、家族会事務局次長の哲也さん(56)は岸田文雄首相が日朝首脳会談の実現に向けて意欲を示していたことを踏まえ、「(北朝鮮との)交渉を打ち切らないでほしい。培ったものは生かしてほしい」と要求した。

 また田口八重子さん(行方不明時22歳)の長男で家族会事務局長の飯塚耕一郎さん(47)は「岸田政権で拉致問題が解決しなかったのは個人的には今までにないくらい落胆している」と話し、早期の解決を改めて求めた。【木下翔太郎】

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