北朝鮮による拉致被害者の家族が、被害者の早期帰国を求めて活動を続けています。岸田文雄首相は3月に被害者家族らと面会した際、「何としても、自分自身の手で拉致問題を解決する」と述べ、日朝首脳会談に意欲を示しました。会談は実現するのでしょうか。現状を整理しました。
Q 岸田文雄首相が日朝首脳会談の早期実現を目指していると聞いたよ。
記者 首相は1月の施政方針演説で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との会談実現に向け「私直轄のハイレベルでの協議を進める」と表明し、3月に拉致被害者の家族会と面会した際には「日朝間の明るい未来を描くため私自身主体的に動かなければならない」と実現に意欲を示しました。
Q 北朝鮮は会談をどう考えているの?
A 金正恩氏の妹の金与正党副部長が2月15日、首相の訪朝の可能性に言及する談話を発表しましたが、拉致問題については「既に解決された」としました。金与正氏は3月25日の談話では、首相ができるだけ早い時期に金正恩氏と会談したいとの意向を北朝鮮側に伝えたと明らかにし、翌26日の談話では日本政府が拉致問題で立場を変えていないとして「接触も交渉も拒否する」と発表しました。
Q 日本に揺さぶりをかけているのかな?
A そうですね。日本政府は「拉致問題が解決済みという北朝鮮の主張は受け入れられない」との方針ですが、林芳正官房長官は27日の記者会見ではこの言い回しを避け、「政府方針は繰り返し説明してきた通りだ」と述べるにとどめました。
Q 会談は簡単には実現しないのかな?
A ハードルは高いですが、首相が電撃的に訪朝するのではないかとの臆測が消えません。バイデン米大統領は4月10日(日本時間11日)の日米首脳会談後の共同記者会見で、首相と金正恩氏との会談実現に関し「(日朝が)対話を模索するのはポジティブなことだ」と賛同しました。拉致問題は国際的にも注目されています。日本政府としては引き続き北朝鮮に対し毅然とした態度で交渉を行い、世論に訴えかけ続ける必要があります。
回答・鈴木悟(政治部)
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