自民党総裁選が12日告示された。自民党は、総裁選の候補者に有料で貸し出してきた党員名簿を無料化することを決めた。逢沢一郎・総裁選挙管理委員長が12日の記者会見で明らかにした。東京新聞は8月、2021年の前回総裁選で党が4人の候補者に計約830万円で名簿を貸し出し、実質的に党員の情報を販売していたことを報じていた。

党員名簿販売を指摘した8月24日の記事

自民党総裁選に出ると「億単位」のカネがいる? 2021年各候補の収支を調べたら、党にもカネを払っていた


◆逢沢選管委員長「コピー代に充てるため費用を徴収」

 逢沢氏は「『政治とカネ』の問題で自民党は非常に厳しい環境に置かれている。選管としても必要以上のお金をかけない状況を確保していく」と強調した。

自民党総裁選が告示され、記者会見する総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長(右)=12日、東京・永田町の党本部で

 前回までは、名簿のコピー代などに充てるために候補者から費用を徴収していたことを説明し、「党営選挙の拡大と候補者の負担を軽減する趣旨で、今回と次回以降の総裁選も同様の判断になる」と、無料化する考えを示した。

◆名簿全体で7万5000ページ、前回は貸与に最高391万円

 総裁選で使われる党員名簿には投票権を持つ党員や党友の電話番号などが記載され、各候補の陣営が支持を呼びかけるために使う。本紙が入手した資料によると、全国に100万人以上いる党員の名簿は全体で約7万5000ページを超える。  前回総裁選の4候補者の政治資金収支報告書には、高市早苗氏が約391万円、岸田文雄、河野太郎両氏が各約195万円、野田聖子氏が約46万円を「名簿貸与料」「名簿代」などの名目で党本部に支払っていたことが記載されている。  今回の総裁選でも党内から「資金力で差がつかないようなルールにしてほしい」と求める声が出ていた。党関係者によると、名簿は総裁選終了後、個人情報を保護するため、党側に返却する決まりになっている。(我那覇圭、坂田奈央) 

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