政府は13日の閣議で、新たな「高齢社会対策大綱」を決定しました。
75歳以上で医療費が3割負担の対象の拡大を検討することが明記されています。

このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説します。

2040年に65歳以上の人口がピークを迎えますが、その後も高齢化の比率はどんどん進んでいくとみられています。
そのため、今回の問題は子ども世代にも影響が出てくるものです。

まず、現在の医療費負担の割合について見ていきます。

70歳未満が3割、70歳以上が2割となっていますが、今回、拡大の対象となっている75歳以上については所得別で負担の割合が分かれています。

一般所得者などが1割、一定以上の所得者が2割、そして「現役並みの所得者」が3割ということで、今回はこの「現役並みの所得者」の対象者拡大が検討されています。

「現役並みの所得者」というと一見分かりづらい表現ですが、これは75歳以上で1人暮らしの場合、年間約383万円以上、月額に換算すると30万円程度の所得のある人を指しています。家賃などの支払いがある場合は、決して楽に生活できる額ではありません。

こういった3割負担の対象になる高齢者を、さらに拡大していくことを検討するということです。

現在75歳以上の方々の医療費は年々増加していて、平均で96万5000円となっています。これが仮に2割負担から3割負担になれば、医療費の自己負担が多くなる人が出てくる可能性もあります。

医療費以外にも介護費用などがかかってくる高齢者にとって、この影響は小さくありません。

国は対策として、老後の所得も充実させるように推進する方針であるという大綱を出しています。

具体的には、現在74%である60~64歳の就業率を、2029年5年後までに79%に上げるほか、65~69歳までの就業率についても、現在の52%から57%に引き上げるという目標を掲げています。

しかし、高齢者の中にも、資産を持っている人、そうでない人、子どもと暮らしている人、そうでない人などさまざまな人がいるため、一概には対策が難しい問題です。

負担が増える分、ハード面で体制が充実しているという実感ができるような対策が求められます。

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