自民党総裁選(27日投開票)で「労働時間規制の緩和」が争点の一つに浮上していることについて、子育て当事者による市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」(天野妙代表)が、緩和主張の撤回を求める緊急声明を発表した。声明文は13日付で、「働く子育て世代の声に耳を傾け、現実に即した討論を」と求めている。
自民党総裁選では、小泉進次郎元環境相が「労働者の働き過ぎを防ぎ、健康を守るのは当然だが、現在の残業時間の規制は、原則として月45時間が上限。企業からも、働く人からも、もっと柔軟に働けるようにしてほしいという声がある」とし、現行の労働時間規制を見直す考えを打ち出した。
声明では、長年にわたる日本の長時間労働について「過重労働により若い命が失われる悲劇的な事件が相次ぎ、少子化との関連も指摘されている」と指摘。2019年の働き方改革関連法の施行により改善しつつある中で労働時間規制が争点化していることに、「多くの子育て世代から、驚きと失望の反応が上がっている」と記した。
規制緩和が進めば、「やりがいの搾取や、『自己研さん』という名の強制残業など、今もある問題がさらに悪化する強い懸念が拭えない」とし、まずは終業から始業までに一定の休息時間を確保する「インターバル規制」の義務化や、残業割増率を大幅に引き上げるなど、働き方改革を拡充する施策を導入するよう求めた。
声明の賛同者として、「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長や白河桃子相模女子大客員教授、末冨芳日本大教授らが名を連ねた。【黒田阿紗子】
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