自衛隊の陸海空の各部隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」の創設を柱とした防衛省設置法などの改正案が11日、衆院安全保障委員会で与党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。日米首脳会談では自衛隊と在日米軍の連携強化に向けた指揮・統制枠組みの見直しで合意。統合作戦司令部は連携強化の一環だが、日本の指揮権の独立性が損なわれる懸念がある。政府は11日の審議で「日米が独立した指揮系統に従う」との従来答弁を繰り返した。

◆「有事」対応だった組織を平時から

 統合作戦司令部は2024年度末、東京・市谷の防衛省施設内に240人規模で発足する見通し。従来は有事が起きた際に統合部隊を立ち上げて対処する方針だったが、平時から統合部隊の運用計画策定や訓練を重ね、有事に備える。米側も日本との連携を深めるため、在日米軍司令部に指揮統制権を一部付与するなど態勢変更を検討している。

木原稔防衛相=資料写真

 立民会派の新垣邦男氏は11日の安保委で「湾岸戦争などでも多国籍軍が編成されたら指揮は全て米軍の司令官が担っていた。日本が米軍の指揮下に入らずに行動することは難しいのでは」と認識をただした。

◆「わが国の主体的判断」を強調するが

 木原稔防衛相は「米軍との共同対処も含め、わが国の主体的な判断のもとで行われる。(日米)おのおの独立した指揮系統に従って行動する」と強調。防衛省の加野幸司防衛政策局長は、有事の際に米側が作戦の統制権(指揮権)を持つ米韓連合軍司令部のような組織創設については「考えていない」と否定した。  共産党の赤嶺政賢氏は反対討論で「自衛隊を米軍の指揮下に一層深く組み込み、日米一体で敵基地攻撃能力を運用する体制をつくるものであり、断じて容認できない」と訴えた。改正案は近く衆院本会議で可決され、審議は参院に移る。(川田篤志) 

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