ポスト岸田を争う、自民党の総裁選は、過去最多9人が立候補する混戦となっている。

告示後の週末(9月14、15日 全国の有権者に電話調査)の調査では、トップは「石破茂元幹事長」25.6%、2番手は「小泉元環境相」21.9%、「高市経済安全保障相」12.5%と二ケタ支持を得たのは先月に続き3候補となった。石破氏は前回調査に比べて4ポイント、高市氏も2ポイント近く上昇し勢いをつける一方、小泉氏はわずかながら支持を減らし足踏みとなっている。

3人に続いては「上川陽子外相」5.5%、「河野太郎デジタル相」4.6%、「林芳正官房長官」3.5%、「小林鷹之前安全保障相」3.0%、「茂木敏充幹事長」1.6%、「加藤勝信元官房長官」0.2%となった。

次の自民総裁にふさわしい人
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【次の総裁にふさわしい人】(カッコ内は先月)
石破茂 幹事長     25.6%(21.6)
小泉進次郎 元環境相  21.9%(22.4)
高市早苗 経済安保相  12.5%(10.8)
上川陽子 外相     5.5%(4.2)
河野太郎 デジタル相  4.6%(7.7)
林芳正 官房長官    3.5%(1.0)
小林鷹之 前経済安保相 3.0%(3.6)
茂木敏充 幹事長    1.6%(1.3)
加藤勝信 元官房長官  0.2%(0.6)
(この中にいない・わからない・言えない) 21.7%

13日午後、9人の候補者が共同で記者会見

自民支持層で石破氏、高市氏は上昇、小泉氏は横ばい 

自民党総裁選は、367人の国会議員票と、全国の自民党員票を同数の367票に換算して総票数734票を争う選挙となる。国会議員票の数とともに、勝敗の行方を決めるのが、自民党員投票となる。そこで、自民党支持層に限って「最も総裁にふさわしい人」に関する質問をみると、最も支持を得たのが「小泉氏」29.4%、続いて「石破氏」24.1%、「高市氏」16.3%となった。二ケタの支持を得た小泉氏、石破氏、高市氏が総裁選レースで他候補より抜き出ていると言える。

8月に行った同様の自民党支持層への質問と比べると、石破氏、高市氏は総裁選告示を経て、それぞれ1ポイント伸ばしている一方、小泉氏は横ばいとなり、直近の勢いとして、石破氏、高市氏が支持を伸ばしている。

続いて「河野氏」5.2%が4番手につけたものの、先月調査より支持は下がっていて、上位3人を追いかける勢いを見せるには至っていない。その後は「林氏」3.8%、「上川氏」と「小林氏」3.6%と続き、「茂木氏」3.0%、「加藤氏」0.3%となった。

【次の総裁にふさわしい人×自民支持層】(カッコ内は8月)
小泉進次郎 元環境相  29.4%(29.4)
石破茂 幹事長     24.1%(23.0)
高市早苗 経済安保相  16.3%(15.3)
河野太郎 デジタル相  5.2%(7.0)
林芳正 官房長官    3.8%(1.2)
上川陽子 外相     3.6%(4.3)
小林鷹之 前経済安保相 3.6%(4.0)
茂木敏充 幹事長    3.0%(2.5)
加藤勝信 元官房長官  0.3%(0.9)
(この中にいない・わからない・言えない) 10.7%(10.7)

左から 石破茂 元幹事長・小泉進次郎 元環境相・高市早苗 経済安保相

「経験」の石破、「人柄」の小泉、「政策」の高市

世論調査では、続けて次の総裁候補として支持する理由について質問した。もっとも多かったのは「人柄が信頼できる」34.5%、「実行力」30.4%、「政策への期待」25.4%、「改革意欲」25.0%、「経験・安定感」23.1%、「目指す方向への共感」17.5%、「刷新感」13.5%、「統率力」5.2%となった。

支持する理由

【次の総裁として支持する理由】
人柄が信頼できる   34.5%
実行力        30.4%
政策への期待     25.4%
改革意欲       25.0%
経験・安定感     23.1%
目指す方向性への共感 17.5%
刷新感        13.5%
統率力         5.2%

この質問を、候補者別に見てみると、各候補のカラーが浮かび上がる。それぞれの候補で上位2つの支持する理由をみてみると、石破氏については、「経験・安定感」39.6%「人柄」が35.2%となり、石破氏は経験・安定感が支持されているといえる。小泉氏については、「人柄が信頼できる」44.6%と抜きん出て、続いて「実行力」も33.2%と一定の期待の高さがうかがえた。高市氏については、「政策への期待」が43.3%と群を抜き、ついで「実行力」31.8%となった。

トップ3候補は石破氏は「経験があり、人柄が信頼できる」総裁、小泉氏は「人柄が信頼でき、実行力もある」総裁、高市氏については「政策と実行力がある」総裁、というそれぞれの期待される総裁像が明らかになった。

続いて4番手以降の候補についても見てみると、河野氏は「実行力」52.4%、「改革意欲」30.7%となり「実行力があって、改革意欲を持つ」総裁として期待されていると言える。

林氏は「経験・安定感」65.7%、「人柄」32.4%となり、石破氏タイプの「経験があり、人柄が信頼できる」候補となった。上川氏については「実行力」40.3%、「人柄」38.6%、「実行力があり、人柄が信頼できる」総裁。小林氏は「人柄」が41.1%、「刷新感」31.4%となった。小林氏自身が、40代、サラリーマンの息子という自身の経歴について「自民党が本気で生まれ変わる象徴」と訴える姿に合致する「人柄が良く、刷新感がある」総裁としての期待を集めた。茂木氏は「経験・安定感」38.8%、「方向性に共感」37.6%となった。日本列島改造などのビジョンを打ち出す中、茂木氏も「経験がある、方向性に共感できる」総裁という姿に期待が集まっている。加藤氏については「政策への期待」70.6%、「人柄」47.4%となり、所得倍増を訴えることで「政策に期待できる、人柄の良い」候補として支持を集めている。

【支持する理由×候補者別】

石破茂 元幹事長

●石破元幹事長:「経験があり、人柄が信頼できる」総裁
「経験・安定感」39.6%
「人柄」が35.2%

小泉進次郎 元環境相

●小泉元環境相:「人柄が信頼でき、実行力がある」総裁
「人柄が信頼できる」44.6%
「実行力」も33.2%

高市早苗 経済安保相

●高市経済安保相:「政策に期待ができ、実行力がある」総裁
「政策への期待」が43.3%
「実行力」31.8%

上川陽子外相

●上川外相:「実行力があり、人柄が信頼できる」総裁
「実行力」40.3%
「人柄」38.6%

河野太郎 デジタル相

●河野デジタル相:「実行力と改革意欲がある」総裁
「実行力」52.4%
「改革意欲」30.7%

林芳正 官房長官

●林官房長官:「経験があり、人柄が信頼できる」総裁
「経験・安定感」65.7%
「人柄」32.4%

小林鷹之 候補

●小林前経済安保相:人柄が信頼できる、刷新感がある」総裁
「人柄」41.1%
「刷新感」31.4%

茂木敏充 幹事長

●茂木幹事長:「経験があり、方向性に共感する」総裁
「経験・安定感」38.8%
「目指す方向性に共感」37.6%

加藤勝信 元官房長官

●加藤元官房長官:「政策に期待でき、人柄が信頼できる」総裁
「政策への期待」70.6%
「人柄」47.4%

公認問題 “裏金議員”に厳しい声

安倍派のパーティー(2022年)

総裁選の焦点の一つに、裏金の不記載議員への対応が上がっている。次の衆院選で“裏金議員”を公認するか、公認するべきではないか、候補者間で温度差が出ている。世論調査では、公認してよいか、公認するべきでないかを聞いたところ、「公認して良い」6.3%、「説明責任を果たせば公認」39.9%、「公認するべきではない」51.6%となり、少なくとも自民党が4月に行った、裏金議員への処分への理解は広がっておらず、追加の対応を求める声が根強いほか、最も多かったのは公認を認めるべきではないという意見となった

 今回の総裁選の争いで各候補者から裏金問題への対応については「党が決定した処分に従う」という意見や「有権者の理解が必要」といった意見が出ているものの、世論調査で最も多かった意見に合う「公認しない」という意見は出ていない。総裁選の投票で、党内で最も多かった旧安倍派100人近くの議員票の行方にも直結するため、厳しい判断を表明しないと指摘する声も聞かれる。

“裏金議員”を公認すべきか

【“裏金議員”を公認すべきか】
公認して良い      6.3%
説明責任を果たせば公認 39.9%
公認するべきではない  51.6%

一方で、政治とカネ問題への姿勢は、総裁選で総投票数の半分を占める自民党員票からの支持にも直結する。自民党支持層に、公認問題について質問したところ、「公認してよい」は10.0%にとどまり、「説明責任を果たせば公認」51.1%、「公認するべきではない」37.7%となり、次の選挙で自民党として公認をするかどうかは、説明責任が足りていないという認識が最も多い結果となった。

【“裏金議員”を公認すべきか 自民支持層】
公認して良い       10.0%
説明責任を果たせば公認  51.1%
公認するべきではない   37.7%

選択的夫婦別姓 「旧姓の通称使用」が最多

総裁選の候補者間で賛否が出ている選択的夫婦別姓の問題(イメージ)

 総裁選でもうひとつ、候補者間で賛否が出ている問題が、選択的夫婦別姓問題だ。婚姻後、希望すれば夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる法整備を行うかどうか、という問題について、小泉氏、河野氏、石破氏は、党内手続きの手法などで違いがあるものの、「賛成」の立場。高市氏、加藤氏、小林氏、林氏らは「通称使用の拡大」という立場、上川氏や茂木氏は、賛否2つに分けるべきではない、分断されるべきではないなどの立場を示している。

 世論調査では、選択的夫婦別姓の導入について「賛成」38.9%、「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用の拡大」46.5%、「反対」12.0%となった。

選択的夫婦別姓の導入

【選択的夫婦別姓の導入】
賛成         38.9%
旧姓の通称使用の拡大 46.5%
反対         51.6%

これについても自民層に限って聞いてみると、「賛成」29.5%、「旧姓の通称使用の拡大」50.9%、「反対」18.3%となり、通称使用の拡大が最も多い意見となった。ただし、野党第1党の立憲民主党支持層でみると「賛成」47.4%、「旧姓の通称使用の拡大」33.9%、「反対」17.8%となり、賛成が最も多い意見となった。また、有権者の中で最も多い無党派層に聞いてみると「賛成」45.1%、「旧姓の通称使用の拡大」45.0%、「反対」6.5%となり、導入の法整備か、旧姓の通称使用の拡大がよいか、有権者の中でも意見が分かれていることがうかがえる

【選択的夫婦別姓の導入 支持層別】
             自民層   立憲層   無党派層
賛成           29.5%   47.4%   45.1%
旧姓の通称使用の拡大   50.9%   33.9%   45.0%
反対           18.3%   17.8%   6.5%

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