きょう19日に可決された斎藤知事の不信任決議案について、知事の「責任」や今後の選択肢について、newsランナーコメンテーターの菊地幸夫弁護士と、前明石市長・泉房穂さんが解説しました。

泉房穂さんは明石市長時代に問責決議が出て、それが可決されて責任を取るという形で、政治家引退を決断しました。

政治家としての責任の取り方についてどう考えますか。

【前明石市長 泉房穂さん】「私自身も、お前が言うかというテーマですが、ポイントは政治家たるものは、『自分が何をしたい』ではなくて、街にとって、市民にとって、『何をすべきか』だと思います」


【前明石市長 泉房穂さん】「県政や市政が混乱すれば、政治家として責任を取って辞職し、また約束を守れなかった自分がするよりも、もっと違う方がやった方が、街のためだと思えば引くんだと思います。私はそういう観点で、5年前の時は3日後に辞職しました。

その後、選挙で選ばれ直して市長に戻りましたけど、また繰り返してしまったことの中で、議会との混乱、また連携が他市ともしにくい中で、違う人がやったほうがいいという判断をしました」

不信任決議案が可決され、斎藤知事には大きく分けて3つの選択肢があります。

・議会の解散=10日以内に県議会を解散。
 ・県議会議員選挙を実施
 ・新しい議会で不信任案が再び可決→知事は自動的に失職

・辞職か失職
 ・50日以内に知事選挙

いずれも莫大な費用がかかります。

・県議会議員選挙…およそ16億円
(去年4月に実施されたばかりで、議員の任期はあと3年ほどあり。)

・知事選挙…およそ18億円

議会を解散して県議会議員選挙を実施し、さらにその後、知事が失職、選挙が行われるという場合は、およそ34億円もの費用が掛かることになります。

【前明石市長 泉房穂さん】「知事選は任期が来年の7月ですから、今回あっても少し早まるだけで、いずれにしても必要な民主主義のことですけど、県議選はあえてする必要がない選挙に16億円をかけるのか?と思います。もし解散すれば、一種の権限乱用的要素を含むと私は思います」

また辞職と失職では、大きく変わる点があります。

斎藤知事の任期は来年2025年の7月末までで、辞職を選択した場合、任期は辞職前の来年7月末まで、およそ10カ月で、来年もう一度知事選を実施することになります。

一方、失職を選択した場合、任期は当選から新たに4年となります。

■菊地弁護士「県民の理解を得ているんだという自信 失職の可能性がある」

【菊地幸夫弁護士】「斎藤知事が何を狙っているのか、何を求めているのか、例えばこの間、吉村大阪府知事は『一旦辞職しなさい』と、『もう1回信を問えばいいじゃないか』と説得したということでした。

『あの人が、また選挙出るの?』と違和感を感じた方もいるかもしれません。それでも吉村知事がそうおっしゃったのは、本人がそういう希望を出したのかな、その可能性もあるのかなと思いました。

県民の負託を受けてると非常に強調されますので、ある程度、県民の理解を得ているんだという自信があるんじゃないのでしょうか。

県議会の解散を選ぶと、不信任は19日で1回、そしておそらく『解散・選挙後』の新しい議会でもう1回、2回の不信任が突きつけられるでしょう。

それから知事選挙になると。2回不信任突きつけられた人間が当選できるかというと、『もうだめだ』とお墨付きがついてしまいます。

単に辞職だと任期が短くなってしまいます。そうすると何もしないで10日間過ごして、失職の可能性があるのかななんて考えたりするんですけどね」

なお、これまで過去4回、知事に対する不信任決議案の可決がありましたが、議会の解散を選択した例はありません。

■斎藤知事の「実績」は 「着手・達成率」98.8%と自負も…

斎藤知事は、知事として県民からの負託を受けていると繰り返すなど、自信があるのではないかということで、「実績」についても見て行きます。

・公用車を「センチュリー」を廃止
・県立大学の授業料無償化(県内在住学生が対象)
・知事の報酬をカット(給与30%・退職金50%減額)
・県職員OBの外郭団体への再雇用規制(慣例:65歳以上→65歳に規制)

選挙の時の公約の着手・達成率として、173項目のうち171項目、着手・達成率は98.8%としています。

斎藤知事は「まだ3年しか知事をしていない、政治家としてまだ力が足りないところもある」とコメントしています。

■泉さん「県民からすると達成して初めて意味がある」

この点について、泉さんは次のように指摘します。

【前明石市長 泉房穂さん】「もちろんなさったことはあります。ただ98.8%は知事自らが言っておられることであって、県民からすると達成して初めて、意味があるので。
着手だったら、3年経っているんだから、当然100%でしょう。
やっていないのは『女性副知事』、『給付型奨学金の創設』、『少人数学級』という3つの目玉公約ですからね」

出直し選挙となれば、前の明石市長である泉さんはどのように対応するのか、スタジオからの質問に対し、こう答えました。

【前明石市長 泉房穂さん】「いや、私も兵庫県民の人ですから県民の一人で有権者ですし、もう60年以上にわたって、総務省の方が代々知事を務め続けてきて、県庁文化も含めて、この際県民目線の知事になってほしいと強く願います」

■泉さん出馬の可能性は

泉さんはSNSのX(旧ツイッター)では、知事候補を公募することを検討中だとハッキリと述べています。

【前明石市長 泉房穂さん】「実際に私のところにも何人もの方か知事選に出たいと、応援してもらえないかという話も来ていますので、ただ出たい人がいい人かどうか別ですから。

そういう意味では、色んな方とも一緒に力を合わせながら、兵庫県民にとってふさわしい知事が当選いただくことを願っています」

そして、こう付け加えました。

「あ、私が出ることはないですからね!」

■第3の選択肢「ダブル選」?

そして議会解散、辞職か失職に加えて知事選挙と県議会選挙を同時に行う「ダブル選挙」のうわさもささやかれています。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「選挙における費用の問題がありましたけれども、今もしも議会を解散してしまったら、おそらく2度目の不信任となり、知事選も実施され、あわせて34億円かかりますが、解散と知事の辞職を合わせて同時期に選挙をすれば、費用は圧縮されます。

さらに19日知事が、『タイミングを含め、しっかり熟慮したい』と発言したことが気にかかっています。19日の不信任から10日間の猶予の間に、自民党の総裁選が行われます。

新しい総裁によっては、解散総選挙の時期が早まって、『10月ぐらい』ではという話も出ていて、国政選挙とあわせて選挙を実施できれば、国が費用をかなり負担してくれます。『タイミング』という言葉は、そこまで考えた上での発言なのかもしれません」

■泉さん 斎藤知事は選挙に「出たら通ると思い込んでいるという気がする」

斎藤知事がとりうる選択について、泉さんは次のように話します。

【前明石市長 泉房穂さん】「本人は色んな選択肢を検討してはるんだろうと察します。私も選挙に出た人間ですけど、選挙に出る人間は、自分が出たら通るに違いないと思い込む方、たくさんおられるので。

そういう意味では知事としては、『頑張れという声が聞こえる』とおっしゃってますから、出たら通ると思い込んでいるという気がします」

(関西テレビ「newsランナー」2024年9月19日放送)

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