性的指向・性自認に関するアンケートに、自民党総裁選候補9人のうち7人が無回答――。
性的少数者らの全国組織「LGBT法連合会」と、同性婚の実現を求める公益社団法人「マリッジフォーオールジャパン」(MFAJ)は19日、自民党総裁選と立憲民主党代表選の立候補者計13人に同性婚の法制化などへの考えを尋ねたアンケートの結果を公表した。
自民の回答者は河野氏と石破氏のみ
立憲は野田佳彦、枝野幸男、泉健太、吉田晴美の4候補全員から回答があったが、自民で回答したのは河野太郎、石破茂の2候補のみ。小泉進次郎氏からは「党通達により回答を見送る」との返事があり、高市早苗、小林鷹之、林芳正、上川陽子、加藤勝信、茂木敏充の6候補は期日までに回答がなかったという。
2023年の最高裁大法廷決定は、性同一性障害特例法が設ける性別変更のための五つの要件のうち生殖不能手術要件を違憲・無効と判断した。その点を踏まえ、アンケートでは同法改正に関する考えも尋ねており、記者会見した連合会の神谷悠一事務局長は「大変残念。お答えいただきたかった」と嘆いた。
アンケ依頼は原則手渡しで
連合会とMFAJによると、アンケートは今月10日までに、各候補の秘書などに用紙を原則手渡す形で依頼した。締め切りは18日としたが、10日以降に立候補表明した候補にもできるだけ早く依頼したという。
主な質問は、①LGBT差別禁止法を制定するつもりか②性同一性障害特例法改正の考え③同性婚の法制化に賛成か--で、いずれも選択式で回答を求めた。
自民のうち、河野氏は②について「改正する必要がある」と答え、③についても「賛成」を選んだ。①については「その他」を選択し、23年6月に制定されたLGBT理解増進法に基づいて国が基本計画を早く策定することなどが肝要とした。
石破氏も①を「その他」とし、「LGBT理解増進法に関する国民理解の増進や、党内での議論をさらに深めていきたい」と回答した。また、②と③も「その他」を選び、②については「政府及び党内における現在の検討状況を確認の上、適切に対応する」、③は「今後の対応については、司法の判断も参考にしながら考えていきたい」などとした。
立憲の4候補は全員、①を「制定するつもりである」、②を「改正する必要がある」、③を「賛成」とした。
回答しないことが意思表明?
一方、自民の7候補が回答しなかったことについて、MFAJの松中権(ごん)理事は「LGBTQの課題や同性婚について、そこまで強い意志を持っていないか、触れたくないか。明確に回答しないことがある意味で意思表明なのでしょう」と語った。
アンケートは前回の自民党総裁選(21年)前にも実施し、そのときは全4候補から回答があったという。最近では同性婚を認めない民法などの規定を違憲とする判決が各地裁で相次いでいることなどから、松中理事は「(同性婚法制化への)反対を明確に表明しにくくなっているということもあるのではないか」とも推測した。【平塚雄太】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。