自民党総裁選(27日投開票)の候補者らは22日、フジテレビの番組で対中国外交について議論した。石破茂元幹事長(67)は、領空侵犯や領海侵犯があった場合、警告を与える「警告射撃」を超えて、相手を負傷させる可能性のある「危害射撃」を自衛隊に認める自衛隊法改正について「根本的な議論をきちんとしなければ抑止力に全くならない」として前向きな姿勢を示した。
危害射撃は警察官職務執行法が準用され、正当防衛や緊急避難の場合に武器使用が認められると解釈されている。
番組では8月下旬に中国軍機が一時、長崎県の男女群島沖の領空を侵犯したことが討論のテーマになった。石破氏は「危害射撃ができないことを中国は百も知っているから抑止力は効かない」と指摘。現状で危害射撃が認められるのは正当防衛や緊急避難の場合に限定していることを問題視した。「領空・領海侵犯罪」を創設して危害射撃を可能とする案も示した。
高市早苗経済安全保障担当相(63)も「法律を見直しておかないと、日本は完全になめられている」と石破氏に同調した。
中国広東省深圳で日本人の男子児童(10)が刺殺された事件を巡り、中国側が「どこの国でも起こりうる」と説明していることについて、小泉進次郎元環境相(43)は「詳細な説明が警察からない。これは日本の警察ではあり得ない。世界全体が中国はどういう国かを見ている。真剣な対応を求めたい」と語った。
高市氏は中国の反日教育が影響しているかを問われ、「確実にそう思う。SNS(ネット交流サービス)上で日本人学校に対する憎悪の書き込み、動画がずっと氾濫していた。削除を外務省からも要請していると思うが、そういったものが大きなきっかけになったと思う」との認識を示した。
南シナ海の領有権を巡るフィリピンと中国の対立について、小林鷹之前経済安保担当相(49)は、フィリピンへの巡視船の供与など「直接支援を強化していくべきだ」と指摘。主要7カ国(G7)や豪州、韓国などと連携して「中国を国際社会の非難の前面に出させるべきだ」と主張した。
林芳正官房長官(63)は能登半島の豪雨災害対応のため、代理議員が出席した。【高橋祐貴】
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