兵庫県議会(定数86)に不信任決議を全会一致で可決された斎藤元彦知事(46)は26日、失職後に出直し知事選に出馬する意向を表明した記者会見で、内部告発文書の作成者を特定した対応について「後から見ればいろいろな選択肢があると思うが、当時は最善の対応だった」と述べ、内部調査の正当性を改めて強調した。
一連の問題を巡っては、県西播磨県民局長だった男性(60)が3月、斎藤氏のパワーハラスメントを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に匿名で配布した。
県は間もなく内部調査で男性を特定すると、斎藤氏は直後の会見で「内容はうそ八百だ」「公務員失格」と激しい言葉で批判し、退職を認めず局長の職も解いた。
この調査は斎藤氏の指示だったことが明らかになっている。当時の片山安孝副知事が西播磨県民局(兵庫県上郡町)に出向き、元局長に何度も「自白」を迫っており、この対応は公益通報者保護法が禁じる「告発者捜し」にあたる可能性が高いとの指摘がある。
片山氏はこの席で、告発前から提出されていた元局長の退職願の不受理も通告していた。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、県は5月、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」として元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。
疑惑の真相究明を目指した県議会は6月、51年ぶりに調査特別委員会(百条委)を設置。元局長の証人尋問を予定していたが、元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられている。
百条委では、公益通報に詳しい専門家が参考人として出席し、「告発者捜し」に関わった斎藤氏らの対応は法令違反に当たると指摘している。【高木香奈、面川美栄】
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