自民党総裁選の立候補者討論会で記念撮影に臨む候補者=東京都千代田区の日本記者クラブで2024年9月14日、手塚耕一郎撮影

 岸田文雄首相の自民党総裁任期満了に伴う総裁選は27日午後、党本部で国会議員の投票が行われ、党員・党友票と合わせて即日開票される。過去最多の9人が立候補しており、1回目の投票ではどの候補も過半数に届かず、上位2人による決選投票で新総裁が選出される見通しだ。

 立候補しているのは、高市早苗経済安全保障担当相(63)=無派閥▽小林鷹之前経済安保担当相(49)=二階派▽林芳正官房長官(63)=旧岸田派▽小泉進次郎元環境相(43)=無派閥▽上川陽子外相(71)=旧岸田派▽加藤勝信元官房長官(68)=茂木派▽河野太郎デジタル相(61)=麻生派▽石破茂元幹事長(67)=無派閥▽茂木敏充幹事長(68)=茂木派。

 開票結果の発表後、同じ会場で両院議員総会を開いて第28代総裁を選出する。新総裁は30日に党役員人事を行い、10月1日召集の臨時国会で第102代首相に選ばれる予定だ。

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を機に脱派閥が加速し、9人が立候補する異例の展開となった今回の総裁選は、知名度が高い石破氏、高市氏、小泉氏が党員・党友票で先行。3人のうち2人が決選投票に進む公算が大きい。麻生派会長の麻生太郎副総裁は高市氏が決選投票に残れば、高市氏を支持する方針を派内に伝えた。一方、岸田首相は決選投票で石破氏か小泉氏を支持するとみられる。

 5回目の出馬の石破氏は「最後の戦い」を明言する背水の陣。党員票では安定した支持を維持した上で、26日には関係が悪いとされてきた麻生氏とも会談し、弱点とされた議員票対策にこれまで以上に注力した。石破氏は27日午前の選対会合で「日本国のために、次の時代のために、この戦い、必ず勝たねばならない。最後までよろしくお願いします」と呼びかけた。

 タカ派色を前面に出した高市氏は安倍晋三元首相の路線継承を強調。積極財政による「強い日本経済の実現」を繰り返し訴えた。選択的夫婦別姓に反対し、保守派の国会議員や党員を中心に支持を拡大した。

 「自民党が変われるのかが問われている」と訴えてきた小泉氏は、聖域なき規制改革や世代交代を強調してきた。選択的夫婦別姓制度の導入や解雇規制見直しをアピールし、菅義偉前首相の全面的な支援を受けた。小泉氏は27日午前、「なんとしても勝利したい。一人でも多くの議員に、自民党を改革し、ともに国民のために働きたいと思ってもらえるように最後まで誠心誠意思いを伝える」とのコメントを発表した。

 今回の総裁選は、国会議員票368票と党員票368票の計736票で争われ、過半数を得た候補が新総裁に選出される。党員票は全国の党員・党友による投票結果を党本部で全国集計し、ドント方式で各候補に配分される。1回目で誰も過半数に届かない場合、上位2人が国会議員票(368票)と都道府県票(47票)の計415票を争う決選投票に進む。1回目よりも比重が大きくなる国会議員票の行方が焦点となる。

 上位2人による決選投票となった場合、投票前に2人による各5分間の演説を今回初めて実施する。【川口峻、遠藤修平】

自民党総裁選の主な流れ(27日)
午後1時 党本部で国会議員が投票
午後2時20分ごろ 国会議員票、党員・党友票の開票結果を発表
※決選投票の場合
午後3時半ごろ
国会議員票、都道府県票の開票結果を発表
開票結果発表後 両院議員総会を開き新総裁を選出。臨時の役員会・役員連絡会合同会議、総務会を開催
午後6時ごろ 党本部で新総裁が記者会見

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