9人の候補者が乱立した自民党の総裁選は、1回目の投開票で誰も過半数を獲得せず、決選投票に進むことが決まりました。

 181票を獲得した高市早苗経済安保担当大臣(63)と154票を獲得した石破茂元幹事長(67)の直接対決となります。

 三つ巴(どもえ)の戦いとなっていたなか、136票にとどまった小泉進次郎元環境大臣(43)は敗れました。

 決選投票は、国会議員票368票と地方票47票のあわせて415票で争われます。

 高市氏は、今回2度目の挑戦です。選出されれば初の女性総理となります。

 党内随一の保守派として知られ、「日本列島を強く豊かに」を掲げてきました。

 そのために経済成長が必須だとして財政出動の重要性を訴え、大胆な危機管理投資や成長投資などで強い経済を実現するとしてきました。

 裏金事件を踏まえた対応を巡っては、政策活動費の廃止を主張しました。

 高市氏は前回の総裁選では、安倍元総理の支援を受け出馬にこぎつけ、保守層からの一定の支持を集めました。

 今回も推薦人は安倍派議員が多く、政治資金収支報告書への不記載などを理由に党の役職停止など、処分を受けた人も多く含まれました。

 また、今回、自民党は政策パンフレットなどの党員への郵送を禁止しているにも関わらず、選挙期間中に党員に政策リーフレットが届いたことを受け、選挙管理委員会から注意を受ける事態となり、他の候補者などから反発を招いていました。

 石破氏は今回5度目の挑戦で「最後の戦い」と位置付けてきました。

 防災省の創設が持論で、今回も、自然災害が頻発し激甚化していることへ対処するため、人員と予算を拡充して設置にむけた検討につなげる、と訴えていました。

 その他、地方創生や、アジア版NATOなどの安全保障体制の強化も主要政策でした。

 また、「ルールを守る」ことを掲げ、派閥の裏金事件を受けた政治不信に対する党改革を行うとし、政策活動費については廃止も選択肢に入れた主張をしてきました。

 ANNの世論調査などで、総理にふさわしい人として高い支持率を得てきましたが、安倍総理に対し弓を引く形でこれまで総裁選に臨んできた経緯などから、「冷や飯」生活も長く、国会議員からの支持に広がりを欠いていました。

 一方、敗れた小泉氏は今回初めての挑戦でした。

 長年答えの出ていない課題に「決着」をつけるとし、政治改革と規制改革、働き方などの選択肢拡大の3つの改革を1年以内に実施すると訴えていました。

 具体的には、政策活動費の廃止や旧文通費の残金返納の義務付け、ライドシェアの完全解禁や解雇規制の見直し、選択的夫婦別姓の導入などです。

 また、裏金事件を踏まえ、「国民に信を問うことを礎として政権運営をしなければどんな政策も前に進まない」として、できるだけ早期に解散することを訴えてきました。

 派閥横断で幅広い支持を得て、事前の票読みでは議員票トップを保ち続けましたが、候補者による政策討論の場で「ワンフレーズ答弁」が目立ち、不安定さを懸念する声も出ていました。

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