集会で発言する「選択的夫婦別姓制度を願う香川県民の会」の山下紀子代表=高松市で2024年5月26日午後4時6分、佐々木雅彦撮影

 自民党総裁選では、選択的夫婦別姓制度の法制化が一大争点になった。新総裁に選ばれた石破茂氏は法制化に賛成の立場を示している。「選択的夫婦別姓制度を願う香川県民の会」(通称・ぼそぼその会)代表の山下紀子さん(51)=高松市=は「石破さんは以前から制度導入に賛成を明言してくれていた。首相になったら、スピード感を持って実現してほしい」と期待する。

 法務省の法制審議会は1996年、同制度の導入を盛り込んだ民法改正を答申した。しかし、「家族の一体感を損なう」などと主張する自民党保守派の反対を受けて国会提出が見送られてきた。

 同制度が実現すれば、夫婦が希望すれば結婚後もそれぞれの姓でいられるようになる。現行の民法は夫婦同姓を定めており、夫婦どちらの姓でも選べるが、実際には根強い慣習から女性側が改姓するケースがほとんどだ。望まない改姓による不便や苦痛を訴える声も多い。

 夫婦同姓を法律で義務付けている国は日本だけで、6月には経団連が早期導入を求める提言を公表した。国際ビジネスを舞台に働く女性が増える中、仕事で旧姓を通称として使う日本独特の仕組みを「企業にとってビジネス上のリスク」と指摘した。

 山下さんは、近く予想される衆院選についても「与野党ともぜひ争点にしてほしい」と願う。「それぞれの立候補者がどんな人権感覚を持っているのか、ジェンダー平等をどう考えているのか。選択的夫婦別姓制度への考えを見れば、その候補者の資質がうかがえると思う」【佐々木雅彦】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。