記者会見する自民党の石破総裁(30日午後、党本部)

自民党の石破茂総裁は1日召集の臨時国会で第102代首相の指名を受け、新たな内閣を発足させる。10月9日にも衆院を解散する意向だ。総裁選中は就任直後の解散に慎重な考えを示していたものの、政権発足直後の期待感が高い時期に信を問う戦略に転じた。

自民党は9月30日、党本部で臨時総務会を開き、森山裕幹事長ら新執行部を決めた。麻生太郎氏は党最高顧問に就いた。石破氏は総務会後の記者会見で、衆院選の日程を10月27日投開票にすると表明した。公示は15日となる。

石破氏は1日の衆参両院の本会議で首相に指名された後、皇居での首相任命式と閣僚認証式に臨む。4日に所信表明演説、7日から代表質問に入る見通しだ。

自民党の新体制  (9月30日就任)
副総裁
菅義偉 (75) すが・よしひで 首相、官房長官、総務相(法大=衆(9)神奈川2、無派閥)
幹事長
森山裕 (79) もりやま・ひろし 党総務会長、農相(日新高=衆(7)鹿児島4、参(1)、旧森山派)
総務会長
鈴木俊一 (71) すずき・しゅんいち 財務相、党総務会長、五輪相(早大=衆(10)岩手2、麻生派)
政調会長
小野寺五典 (64) おのでら・いつのり 衆院予算委員長、防衛相(東大院=衆(8)宮城6、旧岸田派)
選対委員長
小泉進次郎 (43) こいずみ・しんじろう 環境相(米コロンビア大院=衆(5)神奈川11、無派閥)
最高顧問
  麻生太郎(84)麻生派
国対委員長
  坂本哲志(73)旧森山派
組織運動本部長
  小渕優子(50)旧茂木派
広報本部長
  平井卓也(66)旧岸田派
〈表の見方〉氏名、年齢、略歴、カッコ内は出身校、当選回数、選挙区、党派(派閥は23年12月1日時点の所属、麻生派以外は解散を表明)の順。敬称略(写真は共同)

首相就任前に解散日程に言及した理由について「新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要だ」と述べた。就任後では各自治体の選挙準備が間に合わない恐れがあった。石破氏は「異例のことだが不適切ではない」と話した。

9月14日の総裁選の討論会で「国民が判断する材料を提供するのは新しい首相の責任だ」と発言。一問一答形式で質疑する予算委員会の開催が必要との認識を示していた。

選挙日程に関し、28日時点で公明党などには「11月10日まで」と幅をもって伝わっていた。その後に森山裕幹事長ら新執行部の意向を踏まえ、早期解散を決めたもようだ。

政治資金問題への国民の不満は根強く、支持率が高まりやすい政権発足直後が有利と判断した。予算委は新閣僚の資質を試す場になり、失言や不祥事が出る懸念もあった。

短期決戦にはリスクもある。野党側は解散時期を巡る石破氏の発言にブレが生じたとして攻撃材料になるとみる。

立憲民主党の野田佳彦代表は30日、都内で記者団に「首相指名選挙も受けていないのに解散を決めるのは国会軽視ではないか」と批判した。「閣僚の政治姿勢などについても聞かないと判断材料が整わず、予算委は必ず開くべきだ」と強調した。

野田氏は石川県能登地方の豪雨に対応する補正予算案の早期編成を要求する。解散により旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る補償法案などの成立が遅れた場合も反発を招く可能性がある。

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