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 自民党総裁選で、石破茂元幹事長が逆転勝利を果たした。1回目の投票結果は、高市早苗経済安保大臣がぶっちぎりのトップだった。逆転の裏側には、キーパーソンたちの思惑に満ちた投票行動があった。政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説する。

 青山氏は総裁選以前に「菅義偉前総理は小泉進次郎元環境大臣だが、石破・高市になれば、推薦人を貸している石破氏につく。菅氏は加藤勝信元官房長官にも推薦人を貸している。小泉氏が残れば石破氏は乗るし、加藤氏は(石破・小泉の)どちらかに乗らざるを得ない状況だ」と指摘していた。

 また、小林鷹之前経済安保大臣については「前回総裁選は高市氏の推薦人だったが、小林陣営は刷新感の意味で、石破氏に近い若手議員も多い。決戦になるとバラバラになると思うが、石破・高市になると、高市氏に多く行くかもしれない」と予測。

 河野太郎デジタル大臣陣営の22票は、麻生太郎副総裁の指示で、その多くが高市氏に流れた。「河野氏は同じ神奈川県の小泉氏と、政策も似ている。河野氏が小泉氏につくのは間違いないが、(朝生氏は)高市氏の影で動いている」と話していた。

 茂木敏充幹事長は「どう動こうかと、勝ち馬を見極めている状況。どこに行ってもおかしくない」ことから、第1回投票の勝ち馬である、高市氏への投票が考えられる。残るは林芳正官房長官と上川陽子外務大臣の合計61票で、岸田文雄総理がキャスティングボートを握っていたことになる。

 石破氏は最終演説で「内政と外交で果たしてきた大きな功績に心から敬意を表する」と、岸田氏に向けた“ヨイショ”を盛り込んだ。また投票日の2日前には、会見で岸田政権の経済政策を引き継ぐと断言。こうした背景から、岸田氏は林陣営と上川陣営に、石破氏への投票を指示した。

 こうして石破新総裁が誕生し、岸田氏と菅氏が「シン・キングメーカー」となった。一方で麻生氏は、石破氏に決まった際、頭も下げず険しい表情をしていた。キングメーカーの座から外された瞬間だった。

 青山氏は「石破・高市を決したのは、岸田派が石破氏に乗ったから。麻生氏は河野氏を含む麻生派に号令をかけたが、おそらく河野氏に近い人は高市氏には入れていない。高市氏の応援団に『媚中派』や『国賊』とののしられてきた。麻生派は一枚岩になっておらず、一番なっていたのは岸田派という皮肉な結果だった」(青山和弘氏)

 元衆議院議員の宮崎謙介氏は、「麻生氏は今ごろふてくされているのではないか。しゅんとしているかもしれない」と予想した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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