行き交う人もまばらな黒崎商店街=北九州市八幡西区で2024年10月1日午後5時10分、反田昌平撮影

 石破茂内閣が1日に発足した。相次ぐスキャンダルで根深い政治不信が広がる一方、物価高や地方の衰退、少子化など待ったなしの課題が山積している。月内に総選挙が控えるなか、それぞれの地域で暮らす人たちは新政権や政治に何を求めるのか。

 北九州市八幡西区のJR黒崎駅に近い黒崎商店街。1901年の官営八幡製鉄所の操業開始とともに発展してきたが、近年は衰退が著しく人通りもまばらだ。

 商店街に店舗を構える老舗餅専門店「宇佐餅」黒崎店の店長、筑紫キミ子さん(74)は「昔は正月には歩けないぐらい通りが混雑していた」と振り返る。高齢化や過疎化で客足は年々鈍り、特に新型コロナウイルスの感染拡大後に客が減った。「毎日苦しく、買いに来てくれる人も含めてみんな生きていくのに必死。自分たちも努力して頑張っているが、地方は限界に来ている」と現状を語る。看板政策に「地方創生」を掲げる石破氏には「一人一人と丁寧に向き合って、地方が未来への希望を持てるような国にしてほしい」。

 小学2年の長女と3歳の長男を育てる福岡市南区の奥野裕喜さん(33)は「子育てでは食品など日用品の値上がりが一番苦しい」と話す。物価高が続き割高感のあるスーパーに行かなくなり、格安の八百屋や肉屋を見つけて食材を買っている。外食の回数も減った。

 自身で映像制作会社を経営するが、収入は増えない一方で社会保険料が上がるばかりといい、「子どもが成長すればさらに教育費がかかってくる」と将来への不安を口にする。【反田昌平、森永亨】

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