自民党の石破茂総裁(67)は1日、衆参両院本会議での首相指名選挙で第102代首相に選出された。首相交代は2021年10月以来、3年ぶり。石破氏は皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による石破内閣を発足させた。石破氏は国会での野党との論戦を十分に行わないまま、9日に衆院を解散し、次期衆院選を15日公示、27日投開票の日程で実施する考えだ。(川田篤志)

◆「全員が当選できるよう全身全霊」

 石破氏は4日に衆参両院で所信表明演説を行う。7日から各党代表質問が実施される見通しで、9日に党首討論を開く考えだ。1日、首相指名を前に党代議士会で、衆院選に向け「全員が当選できるよう全身全霊を尽くす」と述べた。  衆院選は、党派閥の裏金事件への対応など政治の信頼回復が最大の争点となる。石破氏は当初、国会での本格的な論戦後に衆院を解散する構えだったが、野党の追及で内閣支持率が低下することを懸念し、早期解散に方針転換した。9日に解散すれば、内閣発足から8日後で戦後最短となる。

◆アジア版NATOなど防衛に独自色

 石破内閣は、北大西洋条約機構(NATO)のアジア版の実現や日米地位協定の改定に意欲を見せるなど、石破氏がライフワークとして長年取り組む安全保障問題で独自色を打ち出す。経済政策では最低賃金の引き上げや税体系の見直しによる格差是正など「分配」を重視し、岸田内閣の政策を継承する方針だ。

10月1日、会見する石破首相(市川和宏撮影)

 閣僚人事は初入閣が13人。岩屋毅氏(67)を外相、村上誠一郎氏(72)を総務相に充てるなど総裁選で石破氏の推薦人になった6人を起用。旧石破グループの赤沢亮正氏(63)を経済再生担当相、平将明氏(57)をデジタル相とするなど「身内」の登用が目立った。女性閣僚は2人だった。  裏金事件後に6派閥のうち5派閥が解散を決めたが、唯一存続する麻生派と旧二階派、旧茂木派から2人ずつ、旧岸田派と旧森山派から1人ずつ起用した。旧安倍派はゼロだった。  岸田内閣は1日午前の閣議で総辞職した。岸田文雄首相の在職日数は1094日で、戦後8番目の長さだった。 

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