石破首相(左)と党首討論を行う立憲民主党の野田代表(佐藤哲紀撮影)
◆裏金事件の再調査に後ろ向き
野田氏は裏金事件について「新しい事実が出てこない限り再調査しないと言っているが、新事実は出てきた。再調査すべきじゃないか」と実態解明を繰り返し要求した。首相は「今までも調査してきた。今後も必要があれば再調査は否定しない」と後ろ向きな答弁に終始した。 野田氏が挙げた新事実の一つは、裏金事件で有罪判決を受けた旧安倍派の会計責任者が、東京地裁の公判で、パーティー券販売ノルマの超過利益の還流は派閥幹部の指示で再開されたとした証言。さらに、首相が代表だった政治団体「水月会」(旧石破派)を巡っても、政治資金収支報告書の記載漏れの疑惑が新たに浮上している。◆持論封印の「猫の目解散」
野田氏は「会期延長して予算委員会を開こう。予算委で証人喚問させてください」と提案。裏金議員らを国会で追及すべきだと求めたが、首相は「予算委を開くかは国会が決めることだ」と取り合わなかった。 日本維新の会の馬場伸幸代表は、首相が自民党幹事長だった2年間に受け取った政策活動費17億5000万円の使途をただしたが、首相は「選挙など適法な範囲で使った」と説明を避けた。アジア版NATO(北大西洋条約機構)や金融所得課税の強化といった持論を封印するなど、首相の発言が変節しているとして「猫の目解散」と揶揄(やゆ)した。 玉木氏は政策活動費を衆院選で使わないと約束するよう求めたが、首相は「選挙区で厳しい戦いをしている地域もある。法律で許されている範囲で適切に使う」と表明。玉木氏は「何に使い、誰に渡したか分からないお金を使ったら、選挙がゆがむ」と問題視した。 首相は自民党総裁選では予算委の開催を明言していたが、応じない代わりに衆院解散当日としては異例の党首討論を開催。通例では45分間の討論時間は、80分間に延長されたが、臨時国会で十分な質疑時間が確保されたとは言い難い。共産党の田村智子委員長は記者団に「論戦を回避した党利党略解散。裏金にふたをする解散だ」と非難した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。