今の状況は日本の政治にとって非常によくない。自民党は金権腐敗が進み、そういう体質を国民もある程度わかっていながら見逃す状況が続いている。立憲民主党の後輩はぜひ頑張ってもらって、もう一度政権交代を実現してもらいたい。
問題を批判するだけでなく、どうすべきかをもっと強く国民に訴えることが重要だ。自民党の体質を国民にわかりやすく、おかしい政党だということをもっと強く言ってほしい。
政権交代が少なくとも何年かに1回は起こる形が民主主義のあり方として望ましい。
政治家人生を振り返って印象に残っているのは、やはり2011年の東日本大震災時に起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故だ。
首相として発災翌日に現場を訪れた判断は間違っていなかったと思う。少し間違えば関東地方が放射能に汚染されて東京都を含む地域が住めなくなる最悪の事態すら考えられた。
なんとか封じ込めることができ、責任者として全力を挙げた。私の行動スタイルは現場主義だ。そのことが事態の把握や対応を取るうえで効果的だった。
2010年参院選で「消費税率10%への引き上げ」を提起した。発言が私自身の思いを超えて受け止められた。今でも反省している。税の問題は野党として政権をひっくり返す一つの大きな政策的ポイントだ。しっかりと取り組んでもらいたい。
自分の政治のキャリアは故市川房枝氏の選挙を手伝ったことが原点にある。戦後、女性が参政権を獲得してから80年近くたつが、女性議員の比率があまり増えていないのは残念だ。
世襲が多く古い慣習が残っていることが一因だろう。政治家の半分が女性になることが本来の男女平等の姿といえる。
(聞き手は田中昴)
かん・なおと 東工大卒。故市川房枝氏の選挙事務長を経て1980年衆院選で旧東京7区から初当選。厚相や副総理などを歴任。96年に鳩山由紀夫氏と旧民主党を結成。政権交代後の2010年、首相に就任した。衆院当選14回。78歳。【関連記事】
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