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 15日に衆議院選挙が公示された。福島3区では裏金問題で一度は出馬を辞退した自民党の前職が急きょ立候補することになり、公示日にポスターが間に合わないという異例の選挙戦となっている。

■上杉謙太郎氏 出馬辞退から一転、出馬へ

自民党・前職 上杉謙太郎候補(49)
「皆さまにもう一度『上杉頑張れ』と信じていただける、信頼していただける自民党になれるように、出馬をして真価を問いたい」

 出陣式で、裏金問題からの信頼回復を訴えるのは、福島3区から無所属で出馬した上杉さん。

上杉候補
「突貫工事で街宣車は間に合ったんですけど、本当に何もない中でスタートしました」

 公示日を迎えたにもかかわらず、選挙戦の準備が追いついていないと話すその訳は。

上杉候補(11日)
「私も不記載の議員ですから。国民の皆さまに対してけじめをつけたいと」

 上杉さんは自民党派閥の政治資金パーティーを巡って収支報告書に309万円の不記載があり、その責任を取るとして先週、比例東北ブロックでの立候補を辞退していた。その翌日(12日)。

自民党・前職 菅家一郎氏(69)
「二人三脚でやってきた上杉前代議士が失職したのはショックだった」

 福島3区から立候補予定だった菅家一郎さんは、裏金問題で自民党から公認を得られず無所属で出馬することを明言していたが、12日に一転して出馬を取りやめると表明したのだ。

 異例の事態に、上杉さんは「3区に自民党の候補者が不在のまま選挙を迎えるわけにはいかない」として、急きょ立候補することにした。

 無所属での立候補ながらも、サポートするのは自民党福島県連だ。演説する時の服にははっきりと自民党のシンボルマークが付いている。県連はなぜ、支援することにしたのか。

自民党福島県連 渡辺義信副会長(61)
「特に震災以来の彼(上杉候補)の復興に対しての動きっていうのは、ものすごいものですから。いろいろあったけど反省はしろよと。その代わり今までの倍働いてくださいという思いで今、団結している」

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■立憲民主党・小熊慎司氏「油断大敵」

■立憲民主党・小熊慎司氏「油断大敵」

 公示日前日、立憲民主党の小熊陣営の事務所では…。 立憲民主党・前職 小熊慎司候補(56)
「急きょお集まりいただきましてありがとうございます。選挙の構図が大きく変わりました。前の候補者は、けじめをつけるということで立候補を取りやめましたけど、新しい候補者に関しては、いったん『けじめをつける』と言って立候補を断念しながら、舌の根も乾かぬうちに今度また立候補するという」

 突然の候補者変更に伴い、緊急会議が開かれた。今後の方針を話し合うなか、出席者からはこんな声が聞かれた。

会議の出席者
「裏金(同士)でバトンタッチしたような感じだからね。こういう自民党ではいかんということを訴えていく必要があると思う」

 自民党に対する厳しい声も飛び交った。

 衆院選当選4回の立憲民主党・小熊さん。前回の衆院選では自民党の菅家さんを破って小選挙区で当選。今回は、裏金問題で自民党の公認候補がおらず、一見有利な状況に見えるが…。 小熊候補
「油断大敵だと。表紙が無所属、非公認というだけで、実質自民党の候補ですから」  この日は新しく選挙区に含まれた白河地域の選挙事務所の準備へ。

 区割り変更で広大な範囲となった福島3区。白河地域の事務所へは車で1時間半ほどかかる中、小熊さん自ら運転。

小熊候補
「資金力がある政治家ではありませんから、少ない秘書さん、スタッフで事務所をまかなっていて。移動に関しては私、自らやってます」

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■会津方面では浸透に課題 上杉陣営「時間との闘い」

■会津方面では浸透に課題 上杉陣営「時間との闘い」

 11日の立候補断念から一転、急きょ出馬することになった上杉さん。選挙に欠かせないポスターは、15日の公示日にも間に合わなかった。さらに、選挙戦初日の詳しいスケジュールも当日配られた。 上杉候補
「(Q.そのスケジュールは確認できずに?)遊説コースも急に決まって打ち合わせしてってことでしょうから。みんなバタバタで、やりながらやってくんで」  時間との闘いとなっている上杉陣営に追い打ちをかけるのが、区割り変更だ。

 福島県は今回の衆院選で、小選挙区が5から4に減り、福島3区は県のおよそ半分を占める広大な選挙区になる。

 上杉さんは、拠点のある白河で知名度はあるが、これまで地盤ではなかった会津方面では浸透に課題がある。

 支援を決めた自民党福島県連も思わず本音がこぼれる。 渡辺副会長
「今回の(福島)新3区でいえば、(上杉候補は)県南エリアの人なんですよ。会津の旧4区では新人なんですよ。いかに会津エリアの人たちに『上杉だ』っていうふうに浸透できるかどうかっていうのは、これからが時間との闘い」 上杉候補
「おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも、お子さんも安心して暮らせる。病院がちゃんとしている医療体制の充実。安心してホームに通える福祉の充実(を実現する)」  裏金問題が争点となる今回の衆院選。街の人に話を聞いた。 70代 白河市民
「(Q.上杉候補について)今回の裏金、どうしても引っ掛かりますよね。庶民はこんなに苦しんでるのに」 60代 白河市民
「(Q.上杉候補について)白河市では、いろんな自治会とか町内会の集まりにも参加されてて、頑張っていると思います。良い印象はありますね」

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■小熊氏「これまでの選挙戦以上に期待の声を感じる」

■小熊氏「これまでの選挙戦以上に期待の声を感じる」

 選挙戦初日、会津若松市のメインストリートで、小熊さんの第一声は鳴り響いた。 小熊候補
「皆さんの未来のかかった、明日のかかった、この重要な選挙です。このまま裏金の政治を続けていくのか、それとも皆さんのために公正で正直な政治を取り戻していくのか。そしてまた一部の富裕層だけに許される、そうした経済政策を進めていくのか。給付金つき定額減税などを導入して分厚い中間層を作る、そうした政治にしていくのか。東京中心の日本からまさに真の地方の創生に向かっていくのか。こうしたことが問われている選挙であります」  小熊さんの選挙スタイルは、走る、走る、走る!趣味のマラソンで鍛えた脚力を武器に、街中を時にはスピーカーを持って走り回り有権者にアピール。

 選挙カーの中ではこんな一幕もあった。

小熊候補
「今回スピーカーがいいのかな?前回と違う?」 選挙スタッフ
「違う違う」
「すてき、すてき」 小熊候補
「いや、(元が)いいからさ」

 同乗する選挙スタッフを盛り上げながら、遊説を進める小熊さん。

 まずはなじみの地元、喜多方市へ向かい、午後には喜多方市から約3時間かけ、新しく選挙区に追加された白河市へ。

 知名度に課題がある地域にもかかわらず、多くの支援者の姿がみられた。

小熊候補
「これまでの選挙戦以上に期待をしていただく声を感じていますし、今の政治に対する不満、これを何とか変えてくれよと、この地方の厳しさをしっかりと変えてくれと、そういう熱い思いを多くいただいています」  3人の候補が立候補した福島3区。前回の衆院選と違い、共産党の候補が立候補していることに関しては、次のように話した。 小熊候補
「それ(共産党の票)が今回入らないというのは現実として捉えながらも、それ以上にしっかり我々が純粋に非自民・非共産ということを訴えることによって増える票があると思っています」

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■共産党・唐橋則男が立候補 自民党政治からの脱却

■共産党・唐橋則男が立候補 自民党政治からの脱却

 一方、前回の衆院選で立憲・小熊氏を支持していた共産党の唐橋則男さん(63)は今回、立候補を決断した。 唐橋候補
「野党共闘を追求してきたっていうのが、つい最近まで前提にありました。立憲の代表に野田さんがなったわけですよね。安保法制の問題で立憲主義を守るということで一致してやってきたわけなんですが、そのことが外れてしまってすぐできないということになってしまったのが一つ。もう一つ、(立憲が)維新とも組むというようなことも言ってきて、私たちは維新を自民党の応援団というようなところで見ているので、野党共闘はできかねないと」  有権者には、今の自民党政治からの脱却を訴える。 唐橋候補
「1つ目は裏金献金の解明。2番目は暮らしの問題で、安心して暮らせるためには賃上げ、景気を回復させるために消費税を下げるというようなところとか、そういうことを中心に経済政策を充実させるということ。あともう一つ、農業を守るっていう。全体的な問題なんですけど、農業を守っていくっていうのが必要なんだと思います」

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■各党党首の第一声

■各党党首の第一声

 選挙戦初日を迎えた15日、各党の党首たちも第一声を上げた。

 自民党総裁が選んだのは、東日本大震災で被災した福島の港だ。 自民党 石破茂総裁(67)
「福島の復興なくして東北の復興なし。そして東北の復興なくして日本の復興なし。政治とカネ、パーティー収入の不記載、そういうことが二度とないように深い反省のもとにこの選挙に臨みます」 公明党 石井啓一代表(66)
「失われた政治への信頼を、どの政党、どの政治家が取り戻すことができるのか。具体的な政策を訴え、そして政治資金規正法の改正をリードしてきた、実績のある公明党しかできないというふうに申し上げたい」  立憲民主党の野田代表は裏金問題を厳しく批判。 立憲民主党 野田佳彦代表(67)
「公示日の初日は裏金大物議員の選挙区を回ろうと思ったんです。裏金議員を裏で支えるそういう政治。もう裏、裏、裏。自民党政治に決別しようじゃありませんか、皆さん」 日本維新の会 馬場伸幸代表(59)
「国民の皆様方に政治への信頼を取り戻すためには政治とカネの問題、もっとクリーンに、もっと見える化をしていかなければならないと思っています」 共産党 田村智子委員長(59)
「裏金事件の幕引きを許さない。徹底的な真相解明をさせる。そして企業団体献金全面禁止。カネまみれの政治を生んでいる政党助成金廃止」 国民民主党 玉木雄一郎代表(55)
「減税、社会保険料の軽減、そして高いガソリン代や電気代の引き下げによって、国民の皆さんの、あなたの手取りを増やす」 れいわ新選組 櫛渕万里共同代表(57)
「消費税の減税、そして季節ごとの現金給付、また社会保険料の引き下げ。この3つをしっかりと求め、国民生活を救っていく先頭に立たせていただきます」 社民党 福島みずほ党首(68)
「この衆議院選挙は、自民党政治を終わらせる歴史的な選挙です。がんこに平和、暮らしが一番、税金は暮らしに」 参政党 神谷宗幣代表(47)
「日本が生き残るためには、まず日本政府ではなくて、日本国民が経済をちゃんと回せる状態作らないといけない」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月16日放送分より)

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