27日の衆院選投開票まで残り1週間を切り、与野党は接戦の選挙区のてこ入れに懸命だ。自民党は派閥裏金事件の逆風で都市部を中心に守勢が目立ち、党幹部から選挙後の「連立拡大」論が上がるなど切迫した雰囲気も漂う。これに対し、野党第1党の立憲民主党は政権追及を強める構え。比例票を巡る野党間の競合も激化しそうだ。

「最大の危機感を持って戦う。自公が過半数を割れば日本はどうなるのか」。石破茂首相(自民総裁)は21日、大阪市で街頭演説し、目標に掲げる自民、公明両党での過半数確保へ支持を呼び掛けた。

自民は終盤戦で、野党と競り合う選挙区に「人気弁士」を集中的に投入する。ただ、今回は対象が全国各地に広がっており、党幹部は「可能性のない選挙区を見切ることも必要だ」と指摘。党内からは、無党派層への浸透を困難視する声も漏れる。

厳しい結果を見越したかのような発言も出始めた。森山裕幹事長は20日のNHK番組で、連立政権の枠組み拡大の可能性を問われ、「協議は前向きにすべきだ」と含みを残した。党関係者は、日本維新の会などとの協力が念頭にあると解説。同時に「来年の参院選で不利に働きかねず、他の野党は見向きもしないだろう」とも語る。

「裏金議員」の推薦で「共犯」批判を受ける公明は、維新と大阪・兵庫の選挙区で激戦を展開している。そのさなかに「連立拡大」論が浮上し、党関係者は「そんな不義理はあり得ない」と自民に対する不快感を隠さない。

立民の野田佳彦代表は21日、与党としのぎを削る北海道や東北を行脚。終盤に向けて激戦区を重点的に回り、政権批判票の掘り起こしを図る考えだ。野田氏は同日、遊説先の秋田市で記者団に「競り合っているところを勝ちにいきたい」と強調。「『政治とカネ』の問題は(与党が)一番ダメージを受けているのではないか。言い続けたい」と意気込んだが、党内には「裏金一本やりで、それ以外の訴えが乏しい」との意見もある。

一方、伸び悩みが指摘される維新は、本拠地の大阪でも「選挙区をいくつか落とす可能性がある」(党幹部)との見方が出ており、基盤維持に全力を挙げる。国民民主党は比例票の上積みを狙っており、玉木雄一郎代表は21日、東京の各選挙区を回って支持拡大を訴えた。

衆院選の街頭演説を聞く有権者ら=21日午前、大阪市

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