衆院選(定数465=小選挙区289、比例代表176)の投開票が27日に迫る中、与野党各党は比例代表の獲得議席数が勝敗のカギを握るとみて、票の掘り起こしに全力を注いでいる。
自民党は前回2021年衆院選では1991万票を得て、72議席を確保した。70議席台に乗せたのは「郵政選挙」で大勝した05年衆院選以来で、自民内では「21年は取り過ぎた」という声も多い。
今回は派閥の裏金事件などで世論の批判にさらされる逆風下の選挙戦だ。毎日新聞が22、23の両日に実施した終盤情勢調査では、自民支持層の6割弱しか固め切れていない。「支持政党はない」と答えた無党派層で見ても、立憲民主党の半分程度の支持にとどまっている。60議席台に踏みとどまれるかが焦点となっている。
党代表が山口那津男氏から石井啓一氏に交代して初の国政選挙に臨む公明党は公示前の比例23議席維持を目指すが、楽観できない情勢だ。公示前2議席の中国や同4議席の九州で激しい攻防が続いている。
立憲は21年衆院選では1149万票を得たが、22年参院選で677万票に落ち込み、比例では日本維新の会に「野党第1党」を明け渡した。今回は全国的に堅調で、獲得議席が結党以来で最多となる勢いだ。終盤情勢調査では70歳以上の支持が厚く、無党派層でも最も多く投票先に選ばれている。
維新は21年衆院選の比例で17年衆院選から3倍増となる25議席を獲得した。今回は地盤の大阪を含む近畿ブロックでは地力を見せるが、他地域への広がりが限定的になっている。
共産党は小選挙区で21年衆院選からほぼ倍増となる213人を擁立し、小選挙区の活動を比例代表の支持拡大につなげる従来型の戦略を取った。比例代表の得票数は減少傾向が続いており、回復基調に戻せるかが焦点となる。
勢いを見せるのが国民民主党だ。21年は5議席だったが、今回は2桁の大台に乗せる可能性もある。終盤情勢では18~29歳の比例投票先でトップになるなど、若年層の支持が目立つ。小選挙区と合わせて20議席以上を獲得すれば国会で法案提出権を得られるとして、支持拡大に全力を注ぐ。
政治団体「日本保守党」は複数ブロックで一定の支持を得ている。小選挙区と合わせて政党要件を満たす5人以上が当選するかが注目されている。【小田中大】
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