1票を託す有権者(イメージ)

 衆院選の投開票が27日に迫る中、与野党は投票率の行方を注視している。今回の選挙戦は、自民党派閥の裏金事件による自民への逆風もあり、与野党の候補者が激戦を展開する「接戦区」が多い。このため、投票率を左右する無党派層の動向が各党の議席数に影響を与えそうだ。一方、期日前投票者数は伸び悩んでおり、低投票率も懸念されている。

 「政策論争になっておらず、選挙戦は盛り上がらない。投票率は下がるのではないか」。自民幹部はこう語り、投票率は低くなるとの見方を示した。

 一般的に、投票率が低いと企業・団体などを背景に組織戦を展開できる自民や、支持母体・創価学会の支援を受ける公明党に有利に働くとされる。投票率が高ければ、無党派層からの厚い支持が期待できる野党に有利に働くケースが多い。

衆院選投票率の推移(小選挙区)

 2009年衆院選の投票率は、現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降で最も高い69・28%に達し、旧民主党が政権交代を果たした。一方、自民が政権復帰した12年は59・32%、14年は52・66%で、安倍晋三元首相はその後、長期政権を築いた。岸田文雄前首相の21年の前回衆院選は55・93%だった。

 自民は21日に約40の小選挙区と大阪府の全選挙区を「重点区」に絞り込んだ。石破茂首相は終盤、重点区を中心に回る。これに対し、野党各党は「裏金問題への国民の不信、不満は強い」とみる。立憲民主党の野田佳彦代表は裏金事件に関係した前議員らが立候補した選挙区に集中的に入って支持拡大を訴えている。

 野党は投票率の高まりを期待するが、立憲関係者は「街頭など選挙戦の現場はあまり盛り上がっていないように感じる」と話す。

 投票率を占う上で指標となるのが、期日前投票者数だ。総務省は21日、衆院選の小選挙区で公示翌日の16日から20日までの5日間に、有権者の4・48%に当たる計467万1503人が期日前投票を終えたと発表。前回選の同時期の投票者数は566万6485人で、17・56%減となった。

 今回の衆院選は、石破首相の1日の就任から27日の投開票まで、戦後最短の日程で行われている。準備期間が短かったため、選挙管理委員会から有権者への投票所入場券の発送の遅れが生じ、期日前投票の低迷に影響しているとの指摘もある。

 期日前投票に関し、林芳正官房長官は25日の記者会見で「投票所入場券を持参しなくても、身分証明書の提示などの本人確認で投票ができる。各選管にもその旨の周知を行っている」と述べ、積極的な投票参加を呼びかけた。【源馬のぞみ、金寿英】

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