衆議院議員選挙は、いよいよ27日に投開票日を迎えます。

そこで各選挙区の最終盤情勢について10月19・20日FNNが行った調査に、これまでの取材内容を加えテレビ静岡の永井解説委員に解説してもらいます。

Q.今回の衆院選、全体としてはどんな選挙戦だったと言えそうか?

永井 学 特別解説委員:
キーワードは『超短期決戦』と『風は?』の二つです。解散からわずか6日後の公示で、どの陣営も準備がままならずバタバタの状態で選挙戦に突入しました。

この短さが選挙結果にどう影響したのか、そして自民党に逆風と言われていますが、果たして県内の風は選挙戦を左右するものだったのか、そうしたことが注目される選挙戦だったと思います

静岡1区の情勢

県内各選挙区の最終盤情勢をみていきます。静岡1区は5人による選挙戦が展開されています。

永井 学 特別解説委員:
自民の上川さんは、仲間の応援のため選挙区に入るのは26日も含めてわずか3日間。それでも圧倒的な知名度と実績で自民党と公明党支持層の大半を固め戦いを優位に進めています。

立憲の高橋さんは労働団体の連合静岡の推薦を得られず有志中心の選挙戦を強いられ、維新の山下さんは若者や子育て世代を中心に減税などを訴えてきましたが、維新の支持層を固めきれていません。

共産の鈴木節子さんは、野党乱立で自民党批判票の受け皿になりきれていません。
    
無所属の鈴木惇弘さんは終始独自の戦いを進めています。

静岡2区の情勢

静岡2区に立候補しているのは、3人です。

永井 学 特別解説委員:
自民の井林さんは、企業・団体などの支援の下、自民党と公明党支持層を手堅くまとめ優位に進めています。

立憲の鈴木さんは、市議を務めていた藤枝市を中心に自民批判票の取り込みを図り、共産支持層からも6割弱の支持を得ています。

県内唯一の参政党候補の提坂さんは SNSを積極的に活用して知名度アップに努めています。

静岡3区の情勢

続いて保守分裂で注目される静岡3区の終盤の情勢は

永井 学 特別解説委員:
立憲の小山さんは、自民党の批判を封印し自らの政策に絞って各地で訴えてきました。立憲支持層の9割を固めたほか、他の野党支持層からも一定の支持を得て先行しています。
     
一方、保守分裂となった2人ですが、自民の山本さんは、地盤とする候補がいない袋井市に選挙事務所を構えた上で、票の上積みを図ってきました。自民支持層の6割を固めましたが、2割近くが無所属の宮沢さんに流れています。
     
その宮沢さんは、前回までの組織選挙から一転、人脈を頼った手作りの選挙戦を続け、いわゆる保守系の政党支持層から一定の支持を得ています。

維新の釜下さんは維新支持層の3割弱しかまとめきれておらず、杉村さんは大井川の水の保護を訴えながら独自の戦いを進めています。

静岡4区の情勢

静岡4区は県内唯一の与野党一騎打ちです。

永井 学 特別解説委員:
注目の選挙区の1つで横一線です。

国民民主の田中さんは、野党支持層のほとんどから支持を受け、自民党への批判票の受け皿となっています。裏金問題のほか減税、年金など生活に密着した政策を強く訴えて支持の拡大を図っていて、日頃のこまめな地元での活動が、プラスに影響しています。

自民の深沢さんは、地元の清水区中心に企業・団体の支援を受け自民支持層の9割、公明支持層の8割を固めていますが、陣営内の連携に不安の声も聞かれ今回は守りの選挙を強いられています。

Q.4区は接戦ということですが、勝敗のカギはどこに?

永井 学 特別解説委員:
カギは大票田の清水区です。

前回は地元の深沢さんが田中さんの倍の票を得ましたが、組織力で清水区を守り切れるか、それとも田中さんが自民批判票をどこまで伸ばすのか、無党派層の動向も注目され、ある意味この4区が全国の縮図のような気がします。

静岡5区の情勢

静岡5区は、細野さんが初めて自民党公認での戦いとなります。

永井 学 特別解説委員:
細野さんは、細野党と言われる個人の組織に今回は自民・公明の支持層が加わり全域で安定した戦いを続けています。

立憲の外山さんは、出馬表明が公示直前で連合静岡の推薦も見送りとなったことが影響していて、共産の下山さんは、共産支持層の支持が5割余りにとどまっています

静岡6区の情勢

前回、前々回と接戦となった静岡6区の情勢は。

永井 学 特別解説委員:
立憲の渡辺さんと自民の勝俣さんが今回も接戦です。

渡辺さんは、前回初めて小選挙区での敗北をバネに地域や推薦を受けた労働組合をこまめに回り、移住定住の促進や教育費の無償化などを訴えてきました。立憲支持層の9割を固めましたが、後援会の高齢化でどの程度、運動ができたか不安も残ります。

一方の勝俣さんは、逆風は強いとして一日10ヵ所前後の街頭演説をこなし、この3年間の実績や観光と防災の両立を訴えてきました。自民支持層の8割あまり、公明支持層の7割を固め国民支持層からも一定の支持を得ています。

そして、れいわの冨谷さんは、消費税の廃止などを訴えていますが広がりは限定的です

Q.6区の勝敗のポイントは?

永井 学 特別解説委員:
やはり大票田の沼津市の票の行方です。

渡辺さん、勝俣さんともに出身地で、6区全体の有権者の約4割を占める沼津市の結果が勝敗を左右するでしょうし(前回は445票差)特に浮動票が誰にどう流れるか注目です

静岡7区の情勢

そして静岡7区は3人が立候補、.こちらは。

永井 学 特別解説委員:
経済安保大臣の城内さんは、選挙区を離れる日が多かった上に5月の知事選を巡って地元経済界の一部と関係がギクシャクしましたが、強固な個人後援会や友好団体がフル回転して安定した戦いです。

立憲の日吉さんは、今回初めて連合の推薦を取り付けた上に浜松の有力企業の支援を受けていますが、立憲支持層の6割弱の支持にとどまり、共産の吉川さんは、中心街などで演説を繰り返し、共産支持層の7割あまりを固めています

静岡8区の情勢

自民党の裏金問題の震源地と言われた静岡8区です。

永井 学 特別解説委員:
長年議員を務めた塩谷立さんが裏金問題で党を追われ最終的には政界から引退した8区ですが、引退表明の遅れが選挙戦にも影響を与えていると言えます。

立憲の源馬さんは、政治と金の問題を厳しく批判し「政治の信頼を取り戻す」と訴えてきました。立憲支持層の9割を固め、自民支持層の2割弱からも支持を得ていることから、裏金問題に対する批判の受け皿になっているとみられます。

自民の稲葉さんは、公認の内定が9月末で知名度という点で、まさに超短期決戦の影響を受けていると言えます。自民支持層の7割あまりを固めたものの公明党の推薦を得られなかったことが痛手です。

維新の寺島さんは維新支持層の5割弱の支持にとどまり、共産の平賀さんも裏金問題に時間を割いていますが広がりを欠いています。

無所属の加藤さんは街頭演説で独自の戦いを展開しています

投票率の見通し

気になる投票率ですが、過去5回の衆院選の県内平均投票率では、2009年に政権が交代した時には70%を超えていました。

永井 学 特別解説委員:
2009年の時のような強い風は感じられませんが、逆風・追い風は間違いなく吹いていると言えるので前回より少し上がるかどうかと思いますが、接戦となっている選挙区は投票率によって結果が左右される可能性があります

衆議院選挙は27日に投票日を迎え、即日開票されます。

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