令和元年の参院選を前に街頭演説に臨む市井紗耶香氏(中央)。左は蓮舫、右は塩村文夏の両参院議員

アイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバー、市井紗耶香氏(40)が26日、在職1日で参院議員を辞職し、衆参両院の在職日数の最短記録を大幅に更新した。市井氏は衆院東京15区補欠選挙に立候補した無所属議員の自動失職により繰り上げ当選し、午前8時半に官報に当選人として告示。同10時3分には参院本会議で辞職が許可されており、在職時間は93分間という計算になる。過去の在職日数が短い衆参議員は任期満了直前に繰り上げ当選した事例が目立つが、市井氏のように議員活動を行う意思がないとして辞職するケースは異例だ。

40日、45日、51日

参院事務局によると、過去最短の参院議員の在職日数は平成13年の金石清禅(しょうせん)氏の40日間だった。金石氏は海部俊樹首相の秘書官を務め、7年の参院選比例代表で新進党(当時)から出馬し落選。同党も9年に解党した。13年6月13日、オレンジ共済組合事件で友部達夫参院議員(当時)の有罪が確定し失職したのに伴い、繰り上げ当選した。保守党(当時)に入党したが、同7月22日に参院議員の任期満了を迎え、次は出馬しなかった。

2番目は昭和40年7月4日の参院選で当選したが、同8月17日に死去した自民党の田浦直蔵氏の45日間。3番目は終戦直後の22年に参院議員だった吉松喬氏の51日間。吉松氏は22年5月3日の参院選で当選した後、戦犯の該当者に指定され、同6月22日に議員資格が消滅した。

衆院の戦後最短は26日

衆院議員では、衆院事務局が把握する限り戦後、最も在職日数が短いのが、現在は福島県南相馬市議である立憲民主党の渡部一夫(いっぷ)氏の26日間。渡部氏は平成21年の衆院選で旧民主党比例東北ブロックで落選したが、24年10月22日、民主党の名簿順位で繰り上げ当選。同11月16日に衆院解散で身分を失った。

2番目は自民党の近藤浩氏で31日間。15年11月9日の衆院選で当選したが、公選法違反(買収)容疑で逮捕され、同12月9日に議員辞職した。3番目が8年の衆院選で新進党比例東海ブロックで落選した半田善三氏の39日間。12年4月25日に繰り上げ当選し、同6月2日に衆院解散を迎えた。衆院選に出馬したが落選した。

戦前の衆院議員の最短の在職日数は明治26年の小磯忠之輔氏の9日間、次いで24年の佐藤運宜(うんぎ)氏、大正13年の加藤勝康(まさやす)氏の18日間とみられる。3人とも補選で当選した直後に衆院が解散され身分を失った。

市井氏は令和元年7月の参院選比例代表で旧立憲民主党から出馬し次点で落選。市井氏を抑えて比例代表で当選した無所属議員が28日投開票の衆院東京15区補選に立候補し自動失職したため、市井氏は繰り上げ当選したが、「政治活動を再開する予定がない」などと辞退する考えを示していた。(奥原慎平)

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