政府は26日、スマートフォンのアプリ市場で寡占状態にある巨大IT企業を規制するための新法案「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」を閣議決定した。施行されてスマホOSやアプリ市場の自由度が高まれば、消費者は新しいサービスをより安く利用できるようになる可能性がある。一方、巨大IT企業は安全性を担保するためのフィルター役を担っている側面もあり、安全性が低いサービスが提供される懸念が生まれることにもなる。今後、消費者は利用するサービスを見極めていく必要がありそうだ。
新サービスにも期待
「アプリは(グーグルなどの)プラットフォーム側の審査なしにはリリースできない。支配が弱まれば自由度は高まる」
東京都内のアプリ制作会社に勤務する男性は新法へ期待を寄せた。アプリ業者は巨大ITのストアでアプリを配信する場合、最大で30%の手数料を支払っているが、他のアプリストアの参入で競争が起きれば手数料が下がる可能性がある。加えて、例えば子供向けアプリの専用ストアといった、新しいサービスが提供できるようになる期待もある。
一方、巨大ITによる管理が弱まることによる安全性の低下は懸念材料となる。これに対応して新法はセキュリティーやプライバシー、青少年保護などのために必要とみなされれば巨大ITは必要な対応を取ることができると規定し、一定の安全性を保つ考えだ。
公正取引委員会の古谷一之委員長は26日の記者会見で「過度に心配していただく必要はない」としつつ「(消費者からの)心配があれば話が聞けるような体制を作っていかなくてはいけない」と述べた。(根本和哉)
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