下村博文氏

 東京11区では、裏金事件で自民党の公認を得られず、無所属で出馬した元文部科学相の下村博文氏(70)が、立憲元職の阿久津幸彦氏(68)に敗れ、落選が確実となった。1996年以来、9期連続当選を果たしてきたが、「政治とカネ」の問題への逆風に耐えられなかった。

 下村氏は裏金事件で旧安倍派の元事務総長として党員資格停止1年の処分を受け、比例代表への重複立候補も認められなかった。

 前回選は他の自民候補の応援で全国各地を回ったが、今回は自民都議や区議らと連日区内を遊説し、街頭でマイクを握った。選挙戦中盤からは、高市早苗・前経済安全保障担当相や安倍晋三元首相の妻昭恵氏も応援に駆けつける中、「政治不信を起こした一人として、おわびを申し上げる。先頭に立って政治改革を進める」と頭を下げた。

 支援者宅を一軒ずつ回る「おわび行脚」も実行し、衆院解散までに8000軒以上足を運んだ。資金管理団体と政党支部の2023年分の政治資金収支報告書には支出を1円以上から記載して、ホームページで公開。政治資金の透明化をアピールした。

 だが、裏金に加え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりも影を落とした。有権者の間には、15年に教団の名称変更が認められた際に所管する文科相を務めていたことなどへの疑念もくすぶっており、苦戦を強いられた。【朝比奈由佳】

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