第50回衆院選は27日、投開票された。自民党は公示前の256議席から大きく減らし、単独過半数(233議席)を割り込んだ。公明党と合わせた与党でも過半数に届かないことが確実になった。石破茂首相(自民総裁)は退陣を否定したが、求心力が低下し、政権運営に影響するのは避けられない情勢だ。立憲民主党は公示前の98議席を上回り、さらに躍進する勢い。国民民主党も勢力を伸ばした。

自民の単独過半数割れは2009年以来15年ぶり。派閥裏金事件が大きな要因とみられ、立民など野党は国民の信任を得られなかったとして攻勢を強める方針だ。

首相は27日夜のテレビ番組で「極めて厳しい審判を受けた」との認識を表明。その上で「政策実現に向けて努力は最大限していかなければならない」と述べ、続投に意欲を示した。野党に協力を呼び掛ける考えも明かし、「中道路線で行くなら傾聴に値する」と述べた。国民民主などが念頭にあるとみられる。

一方、立民の野田佳彦代表は「首相指名選挙を戦うべき環境なら、取りにいくのが当然だ」と述べ、同党中心の政権を目指す立場を示した。

28日午前1時現在、自民は選挙区93、比例代表44の計137議席を確保した。公明は埼玉14区で石井啓一代表が落選。選挙区1、比例12の計13議席にとどまっている。与党の公示前勢力は計288議席だった。

立民は選挙区71、比例39の計110議席の獲得が確実。日本維新の会は21議席、共産党は6議席を固めた。公示前7議席の国民民主は選挙区7、比例9の計16議席を確保。れいわ新選組は公示前から倍増の6議席に達した。社民が1議席を取り、政治団体「日本保守党」も国政で初の議席を得た。

衆院選は21年10月以来3年ぶり。小選挙区289、比例176の計465議席を争った。裏金事件を踏まえ、「政治とカネ」の問題への対応が最大の争点となり、発足間もない石破政権への信任も問われた。賃上げや物価高対策を含む経済再生も論点に挙がった。

首相は勝敗ラインを「与党で過半数」に設定。裏金事件に関係した前議員らを公認せず、他の事件関係候補も比例との重複立候補を認めなかった。ただ、選挙戦後半に非公認候補側に2000万円を支給していたことが発覚し、強い批判を浴びた。

野党は候補者調整を進められなかったが、政権批判票の受け皿に一定程度なった。

立候補者1344人のうち、女性は314人で過去最多となった。内閣発足から26日後の投開票は戦後最短。小選挙区定数の「10増10減」に伴う新たな区割りが初めて適用された。

報道各社のインタビューに臨む自民党の石破茂首相(左)と菅義偉副総裁=27日午後、東京・永田町の同党本部

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