沖縄県では四つの選挙区全てで、玉城デニー知事が支援した「オール沖縄」勢力の野党候補と自民候補が対決し、2021年の前回選同様に2議席ずつを分け合った。オール沖縄勢力が1、2区、自民が3、4区を制した。
名護市辺野古沿岸部では、政府が米軍普天間飛行場（宜野湾市）の移設計画に伴う埋め立て工事を着々と進める。沖縄県は県内移設に反対してきたが、法廷闘争で敗れ、工事を止める有効な法的手段は現時点でない。今回の選挙では移設計画への賛否は最大の争点とはならず、オール沖縄勢力は苦戦が予想されたが、2議席を死守した。
沖縄では14年の衆院選以降、辺野古移設に反対するオール沖縄勢力の候補と自民候補が各選挙区で対決する構図が続く。オール沖縄は14年に全勝した後、17年は3勝1敗、21年は2勝2敗と回を重ねるごとに1議席ずつ失ってきたが、今回は退潮傾向を食い止めた。
逆に自民は6月の県議選で大勝したが、派閥裏金事件による逆風で失速するかたちとなった。
1区では共産前職の赤嶺政賢氏（76）が、共産唯一の選挙区の議席を4回連続で守った。赤嶺氏は那覇市の事務所で「不条理な基地問題に対する県民の思いが勝利となって表れた。辺野古で行き詰まっているのは政府。新たな基地は造らせない、普天間は即時返還、撤去という闘いを県民とともにやっていきたい」と抱負を述べた。
普天間飛行場を抱える2区でも社民前職の新垣邦男氏（68）が社民唯一の選挙区の議席を守った。新垣氏は宜野湾市の事務所で「政権が軍拡にひた走り、沖縄がまた戦場になるのではないかという不安が県民にある。辺野古（移設）は駄目だという民意も基本的には変わっていない」と語った。
一方、辺野古を選挙区に含む3区では立憲前職の屋良朝博氏（62）が前回選に続き、自民前職の島尻安伊子氏（59）に届かなかった。屋良氏は沖縄市の事務所で「競り負けたのは政策の浸透度。辺野古の問題をこれからも訴え、議論を巻き起こす」と話した。【日向米華、池田真由香、比嘉洋、喜屋武真之介】
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