自民、公明両党は、衆院選で過半数を割り込み、衝撃を受けている。派閥裏金事件の「みそぎ」を狙った政治決戦で国民から「ノー」を突き付けられた形で、2012年の政権奪還以来続いた「一強多弱」の構図は大きく変化。今後、野党の一部も巻き込んだ多数派工作が必要となりそうで、政局は一気に不透明さを増した。

「『政治とカネ』の問題で全く理解をもらえないことが一番大きかった」。石破茂首相(自民総裁)は27日夜、フジテレビ番組などで敗北の要因をこう総括した。

首相はこの日、予定していた百貨店での買い物を取りやめ、衆院議員会館の事務所と宿舎を行ったり来たりしながら、電話などで情報を収集。午後7時すぎに厳しい表情で党本部に入った。

自民内には党幹部の責任論が広がる。閣僚経験者は首相の「言行不一致」に加え、裏金事件で非公認となった候補側への2000万円支給が最終盤で追い打ちになったと指摘。支給を判断したとされる森山裕幹事長らの辞任を要求した。

これに対し、森山氏は党本部で記者団に「補正予算、来年度予算編成に微力を尽くしたい」と述べ、続投する考えを表明。小泉進次郎選対委員長は東京FM番組で「選挙の結果は選対委員長の私に責任がある」と述べた。

首相は与党過半数を勝敗ラインと位置付けてきた経緯があり、党内では進退を問う声も浮上。「石破降ろし」に発展するかが今後の焦点となる。一方で首相指名選挙を行う特別国会は憲法の規定により30日以内に開く必要があり、政治日程に余裕はない。

与党が過半数割れした場合の対応について、首相は「連立なのか閣外協力なのか、いろいろなやり方がある」と述べ、一部の野党に協力を呼び掛ける可能性を示唆。自民関係者は「自公に無所属議員らを加えて、政権が維持できれば首相は続投できる」との見方を示した。

首相は当選した非公認候補の追加公認について「国民の理解をもらえるか考えないといけない」と述べるにとどめた。

報道各社のインタビューに臨む自民党の森山裕幹事長(右)と小野寺五典政調会長=27日午後、東京・永田町の同党本部

報道各社のインタビューを受ける自民党の小泉進次郎選対委員長=27日午後、東京・永田町の同党本部

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