◆首相指名どうなる? 駆け引きスタート
選挙結果を受け、インタビューに答える自民党総裁の石破茂首相=27日夜、東京・永田町の党本部で(佐藤哲紀撮影)
「われわれが掲げた政策の実現に向け、努力を最大限していかなければならない」。首相は27日夜の民放番組で政権維持に強い意欲を示した。 これに対し、躍進した立憲民主党の野田佳彦代表は「首相指名を取りにいくのは当然だ」と政権交代を視野に、他党との協議を進める考えを強調。議席4倍増で存在感を見せつけた国民民主党の玉木雄一郎代表は、野田氏に投票するか問われたが、自身の名前を書くと明言し、早くも首相指名を見据えた駆け引きが活発化した。 首相指名選挙が行われる特別国会は憲法の規定により、衆院選の投開票日から30日以内に召集しなければならない。自民、公明両党は11月7日の特別国会召集を軸に調整していたが、過半数割れに追い込まれたことで、首相指名に関する調整が難航して召集日がずれ込む可能性がある。◆就任1カ月足らずの石破首相に「進退を問う声」
首相は与党過半数を勝敗ラインと位置付けてきたため、党内で首相の責任や進退を問う声が高まる。裏金議員へ場当たり的な対応を続けた執行部への不満は、落選が相次いだ旧安倍派以外にも広がる。 選挙戦終盤には、非公認候補の政党支部に活動費として公認候補と同額の2000万円を支給していたことが表面化。「非公認候補ではなく、政党支部に出している」と釈明したが「裏公認」「ステルス公認」と批判され、大敗を決定づけた。 2000万円を支給して支援した非公認候補から「ありがた迷惑」と返金表明が続き、古屋圭司元国家公安委員長は森山裕幹事長の応援を拒んで「開いた口がふさがらない」と批判した。選挙中から党内対立が露呈しており、混乱は収まりそうにない。◆「追加公認」も難題、連立協議も視界不良
求心力が低下する厳しい状況の中、政権の継続のために、非公認で当選した平沢勝栄元復興相(東京17区)ら裏金議員への対応が問われる。首相は非公認候補の追加公認について「信任をいただいたことと、全国民の理解をいただくことの両方を考えないといけない」と明言を避けたが、自民が惨敗した結果は、国民が裏金事件に納得していないことの表れ。みそぎが済んだかのような対応は、国民のさらなる支持離れを招く懸念もある。 今後は、日本維新の会や国民民主党などと連立を含む協議をまとめられるかが焦点だ。首相は「悪夢のような民主党政権」と、かつて自らが批判していた安倍晋三元首相の表現を使って野党を非難しており、続投すれば、交渉の支障となる可能性が高い。来夏に東京都議選や参院選を控え、与野党の対立が一層深まるのは確実。国民から「ノー」を突き付けられた自民が多数派工作の協議を主導するのは容易ではない。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。