自民党臨時役員会に臨む石破首相ら執行部(28日午前、党本部)

衆院選は28日未明、小選挙区289と比例代表176の全ての議席が確定した。自民、公明両党は公示前の279議席から64減らし215議席にとどまり、定数465の過半数(233)を割り込んだ。石破茂首相(自民党総裁)は同日午前、党の臨時役員会に出席した。政権を維持するために連立枠組みの拡大を探る。

各党の獲得議席の内訳は自民党191、立憲民主党148、日本維新の会38、国民民主党28、公明党24、れいわ新選組9、共産党8、参政党3、社民党1、諸派3、無所属は12だった。

自民派閥の政治資金問題を受けて有権者の不信を買い、与党が議席を大きく減らした。政治改革を前面に出した立民と国民民主は議席を伸ばして躍進した。

首相が勝敗ラインに掲げた与党で過半数の議席には、自民が非公認とした候補を仮に追加公認しても届かない。自公の過半数割れは政権交代が起きた2009年以来、15年ぶり。

首相は28日昼にも公明の石井啓一代表と会談し、その後に記者会見して衆院選の総括や政権運営の方針を説明する。

比例代表に重複立候補しなかった石井氏は埼玉14区で敗れて落選した。公明は小選挙区で振るわず、人事を含む党の立て直しを急ぐ。

首相は27日、続投に意欲を示した。野党第1党の立民の野田佳彦代表も国会で首相指名の獲得を狙う考えを表明した。自公両党、立民とも衆院で過半数の議席を持たず、双方が新たな政権の枠組みを探る展開となる。

首相指名の選挙をする特別国会は憲法の規定により投票日から30日以内に召集される。各党の駆け引きが活発になる見通しだ。

首相は衆院選の結果を踏まえ「我々が掲げた政策を実現することに向けて努力は最大限していかなければならない」と述べた。国会で予算案や法案を成立させるためには野党の協力が必要となる。

自公は少数与党のまま政権運営する選択肢に加え、維新や国民民主などの取り込みに動く可能性もある。現時点で両党とも連立入りには慎重姿勢で、政策ごとの部分的な協力を含めた検討になる。

立民も28日午前、執行役員会を開いた。首相指名選挙の対応を議論する。

野田氏は27日のテレビ番組で「(首相指名を)取りにいくのが当然だ。政権交代こそ最大の政治改革と言った以上は追求したい」と強調した。野田氏が選ばれるにはほかの野党の協力が必要になる。

政権の枠組みが流動化する一方、年末に向けて政治課題は山積する。首相は選挙中に新たな経済対策の財源となる13兆円規模の2024年度補正予算案を編成する考えを示した。年末には25年度予算案と税制改正大綱の決定も控える。

11月中旬には各国首脳が集まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)と20カ国・地域(G20)の首脳会議がある。日本も枠組みのメンバーだ。首相は特別国会の日程に合わせて出席を判断せざるを得なくなる。

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