自民党派閥裏金事件への対応が最大の争点となった衆院選で、政治資金収支報告書に不記載のあった「裏金議員」の当選率は4割弱だった。立候補した46人のうち、議席を得たのは18人。野党の落下傘候補が公示直前の立候補表明だったのに猛追して比例復活したり、保守地盤の裏金議員が数百票差で逃げ切る薄氷の勝利となったり、有権者の根強い政治不信が鮮明になった。  特に強い逆風にさらされたのは、党公認を得られなかった12人の無所属候補で、8人が落選した。10期連続当選を目指した東京11区の下村博文元文部科学相は、高市早苗前経済安全保障担当相らが応援に入り、自民の地方議員も自主的に支えたが敗北。当選8回の実績を訴えた福井2区の高木毅元国対委員長は次点にも届かず、3位に沈んだ。  公認された34人は比例代表への重複立候補が認められず、20人が落選。14選を目指した大分2区の衛藤征士郎元衆院副議長や福岡11区の武田良太元総務相らベテランも苦杯をなめた。自民の支持層が厚い選挙区でも苦戦が目立ち、栃木3区の簗和生氏がわずか178票差まで迫られ、富山1区では田畑裕明氏が次点と738票差だった。  裏金議員が出馬した46選挙区のうち、立民は20選挙区で勝利。同じく裏金議員との対決姿勢を鮮明にした日本維新の会は5選挙区、国民民主党は2選挙区でそれぞれ議席を獲得した。(大野暢子) 

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