首相官邸に入る石破首相(写真左)と記者会見する国民民主党の玉木代表(いずれも29日)

自民党の森山裕幹事長は31日、国会内で国民民主党の榛葉賀津也幹事長と会談した。政府が11月中旬のとりまとめを目指す経済対策を巡る政策協議を提案する。予算案や重要法案といった案件ごとに国民民主が協力する「部分連合」を目指す。

会談には自民の坂本哲志、国民民主の古川元久両国会対策委員長が同席した。自民と連立を組む公明党も11月1日、国民民主と幹事長らが出席する会談を開く。

自公は経済対策を巡り、衆院選で「手取りを増やす」をスローガンに掲げた国民民主の政策を取り入れる。具体策の協議を始める。

国民民主は所得税が発生する「年収の壁」を引き上げると公約した。所得税の非課税枠を年収103万円から178万円に上げる。パートなどが課税を意識して働く時間を抑えており収入が増えにくい。引き上げは人手不足の解消につながりやすい。

政府は非課税枠を75万円増やすと、国と地方の合計で年7兆6000億円ほどの減収になると試算する。政策の実現にはどのように税収減を補うかが課題になる。

国民民主はガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除も訴えた。同条項は全国平均のレギュラーガソリン価格が3カ月連続で1リットル160円を超えると、およそ25円の上乗せ課税を停止する仕組みだ。いまは凍結している。

国民民主は自民、公明両党の連立政権に加わらないものの、公約実現に向けて自公との部分連合を否定していない。自公の議席は衆院選で過半数を割り込んでおり、国民民主の協力を得て経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案の早期成立を目指す。

自民には11月11日にも召集する特別国会の首相指名選挙で石破茂首相の再選を確実にする狙いもある。選挙は1回目の投票で過半数を得る候補がいないと上位2人の決選投票に移る。首相と立憲民主党の野田佳彦代表に絞られる公算が大きい。

国民民主は決選投票で玉木雄一郎代表を支持する見通しだ。首相と野田氏が決選投票に進む場合、玉木氏への票は無効になる。与党は過半数の議席を持っていないものの、結果的に最も多くの議席を持つ自民へ有利に働く公算が大きい。

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