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 先の衆議院選挙で自民党が大敗した。一方で注目を集めているのが7議席から28議席へと“4倍増”した国民民主党だ。

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 そんな国民民主の玉木雄一郎代表を専門家は「キャスティングボートを握っている」と評し、アメリカも「未来の総理候補」として会談を要請しているという。

 なぜ28議席の国民民主にここまで注目が集まるのか? 既に玉木代表が水面下で行なっているという“高度な駆け引き”とは何か? 専門家と考えた。


??なぜ38議席の維新ではなく、28議席の国民民主なのか?

 国民民主の影響力が強まっている背景について、日本大学危機管理学部教授/東京科学大学特任教授の西田亮介氏は「自民党は単独で過半数に達しないため(自公で215議席)、『233』という数字を目指しているが、そこに“はまってくる”のが維新や国民民主党だ。だが、日本維新の会は大阪以外は大きく負けて議席を6つ減らしたことで代表の責任を問う声も出ているなど相当“ガタついた状態”。一方で、国民民主は『手取りを増やす』と『トリガー条項の解除』という2つの政策を柱にしながらまとまっている」と説明。

 そんな国民民主は既に“駆け引き”を始めているという。

 西田氏は「例えば、投票日の直後に国民民主は『首班指名選挙において玉木代表の名前を書く』ことを党として議決した。これは『連立には参加しませんよ』と自民に伝えると同時に『自分たちの協力を取り付けないと政策を通せないですよ』とも潜在的にアピールしている。とてもうまい。この駆け引きは今のところ国民民主にとって合理的な形で進んでいるように見えるが予断を許さない」と述べた。

 さらに、西田氏は「国民民主は『103万円の壁解消』と『トリガー条項凍結解除』を掲げているが前者により真剣味を感じる」と分析。

「国民民主は『控除の金額を増やして手取りを増やす』と主張しているが、実現すれば相当に消費を刺激し、物価高対策にも貢献することになる。不人気の自民にも嬉しい。一方で、トリガー条項凍結解除はややわかりにくく、補助金で事実上、代替されていて直接的な効果も体感しにくいことから本命とはいえないのではないか。交渉する際に1つだけ本命を投げると“割引”した落とし所をつくりにくいため、2つの“合わせ技”で投げているようだ」

 自民党の森山幹事長は政務調査会や税制調査会の協議を自民・公明・国民民主の3党で協議を進める方針を決めている。

 これについても西田氏は「いきなり平場で議論をすると国民民主は何を主張するか分からない。政党の中で議論している段階から参加してもらった方が比較的円滑に議論が進むだろうと考えてのものだろう」と述べた。

 上記の動きについて「部分連合」と見る向きがあるが、玉木代表は、「『部分連合』という言葉、私にはどうもよくわかりません。案件ごとに反対したり賛成したりするのは政党として当然のことではないでしょうか?」と話し、“自民寄り”と見られることを警戒している。

 一方、野党第一党の立憲民主党も国民民主党との連携を望んでいる。

 これについて西田氏は「数だけでいえば野党がまとまることができれば政権交代か、という状況だが実は野党は一枚岩ではない。その中では、立憲民主と国民民主は比較的政策や主張の距離が近い。地元が近い立憲の小川幹事長も積極的に働きかけているようだが、玉木代表は乗り気ではないようだ」と述べた。

??“消極的な政権交代”が起こる?

 政権交代が起こる可能性はあるのか?

 西田氏は「次の総選挙では“消極的な政権交代”が起こるかもしれない」と推測した。

「自民や公明に対する反発の世論の中で『今の与党に任せたままだと難しいのでは? 少しお灸を据えておこうか』ということから、国民に野党の政策が選ばれる”積極的な政権交代”ではなく、“消極的な政権交代”が起こり得ると認識している」
(『ABEMAヒルズ』より)

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