石破茂首相は9日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京・練馬など)で開いた防衛省・自衛隊70周年記念観閲式で訓示した。敵のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」や弾薬の確保など、2022年末に決めた安全保障関連3文書に基づいた防衛力の抜本的強化を「着実に実現していく」と語った。
「戦後最も厳しく複雑な安保環境に直面するなか、外交カと防衛力の両輪をバランスよく強化していく」と述べた。
中国とロシア軍機による領空侵犯に関し「まったく受け入れることはできない」と非難した。北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射にも触れた。
地域の安保を巡り「自由で開かれたインド太平洋の実現のため、同盟国・同志国間のネットワークを有機的・重層的に構築する」と言明した。
米国との関係について、トランプ次期大統領と7日に電話したことを踏まえて「日米同盟を新たな高みに引き上げるために協力していくことを確認した」と強調した。「同盟のさらなる強化にともに取り組んでいく」と話した。
政府が閣僚会議を開いて進める自衛官の処遇改善の重要性も示した。「自衛官が国防という極めて枢要な任務に誇りと名誉を持って専念できるよう、万全の体制を構築することが必要だ」と訴えた。
首相は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」との自衛隊員の服務宣誓を読み上げ「私自身、何度もかみしめてきた」と語った。「今日この機会に諸官に改めて問いかけたい」と呼びかけた。
観閲式は毎年、陸海空自衛隊がそれぞれ持ち回りで開催する。今年は自衛隊が1954年に発足してから70年の記念を兼ねた。中谷元防衛相も出席した。
観閲部隊として自衛官800人、車両50両、3自衛隊の航空機10機ほどが参加した。航空自衛隊のF35戦闘機やF2戦闘機、F15戦闘機などが上空を飛んだ。
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