アメリカ大統領選で、トランプ氏勝利の立役者とされるのが、実業家のイーロン・マスク氏(53)だ。新政権ではマスク氏を要職に起用する見通しだというが、一体どんな人物なのか。
【映像】23歳の頃のイーロン・マスク氏(写真あり)
大統領選ではトランプ氏に180億円の献金をし、トランプ氏への投票を約束した人に1億5000万円をプレゼントした。その資金源となる自己資産は48兆円で、ほぼサウジアラビアの国家予算に匹敵する。
マスク氏は1973年、南アフリカ生まれ。父親は南アフリカ人の技術者、母親はカナダ人の栄養士兼モデルだ。24歳で大学院を中退し、ウェブソフト会社を起業したが、4年後に30億円で売却した。
テレビ朝日外報部の中丸徹デスクは、「どんな手を使っても、働きすぎでも達成する。アイデアとやりきる力が、アメリカの中でも突出している。日本人で言うと織田信長だ」と評する。
マスク氏はソフト会社の売却資金で、仲間とインターネット決済のPayPal(ペイパル)を始め、これが大当たりした。中丸氏は「初めてアメリカに行った12年前は、まだ割り勘を小切手でやっていたが、ほとんどオンラインになった。人類に貢献するために会社を作るやりかたは(織田信長に)似ている」と語る。
しかしマスク氏は、31歳でPayPalも売却し、資産は200億円となった。その後は宇宙産業へ進出し、「2050年までに100万人を火星に移住させたい」「宇宙へのコストを100分の1に下げる」と、スペースXを創設。打ち上げたロケットを回収し、再利用を実現した。「夢を実現する力に憧れている人もいる。地球に何かあったとき、最後に助けてくれると思う人も一部にいる」(中丸氏)。
直近では、ロシアから通信を遮断されたウクライナからの要請で、スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」を無償提供した。いまや「スターリンクを使わせないと、戦争に負ける国が出てくる」ほどの影響力だという。
今回の大統領選では、ビル・ゲイツ氏もハリス氏側に約75億円を寄付した。なぜアメリカの大富豪は、多額の献金や社会貢献を行うのか。
時代を先取りしたビジネスを展開する「にしたんクリニック」社長の西村誠司氏は「事業全体にお金もうけではなく、世界を変えていくワクワク感がある」と指摘する。
「20代の最初は“山っ気”があり、『ガッツリ稼いで良い生活をしたい』という思いを持ってしかるべきだが、経験して刺激がなくなってくる。次のやりがいは、となると、事業活動を通して、社会を良くしていくことに行き着く」(にしたんクリニック・西村誠司社長)
その境地に達するには、「保有株式の配当や運用だけで『一生困らないくらいの金額』を得る。純資産100億円ぐらいあれば、寝ていても毎月2000万円は税引き後で入る」といった基準を西村氏は示す。
マスク氏は、地球環境を考えて電気自動車「テスラ」に投資し、人型ロボット「オプティマス」も披露した。中丸氏は「(マスク氏が)トランプ氏に規制緩和、ビジネスファーストのアメリカを期待している。トランプ&イーロンコンビが成功すれば称賛される可能性がある」と予測する。
2022年には、6兆4000億円でTwitter社を買収し、「X」に改名させたことでも話題になった。その背景には、旧Twitterでのトランプ氏のアカウント凍結があると、中丸氏は指摘する。「意見は自由であることが大事で、トランプを大統領にしたくないリベラル側の思惑を、マスク氏は良くないと感じた」。
「X」の文字へのこだわりも、マスク氏を語る上で欠かせない。会社名に「X.Com」「スペースX」「X」、息子の名前にも「X」と付けた。くしくも西村氏も、2010年のアメリカ移住時、メンバーと相談して現地事業に「XCom」と名付けていた。
「マスク氏に限らず、アメリカ人は『X』が好き。ゲーム機のXboxや、スマホのXperiaなど、『未知だけど、とてつもないポテンシャルがある、大きく世の中を変える』プラスのイメージを持っている」(西村氏)
ちなみにマスク氏の息子の正式名は、「X ? A-Xii(エックス・アッシュ・エートゥエルブ)」だ。
大統領選をめぐり、中丸氏は「結果を出す集中力とアイデアを選挙にも取り入れて、とくに共和党の陣営で、投票率が上がったとの指摘がある。マスク氏は何かやったのではないか。今回トランプ氏が負けたら会社倒産するほどの覚悟を持って臨んだ。何かしらの革命をもたらしている可能性がある」と予想した。
なお今回マスク氏は、トランプ氏に180億円を献金したが、トランプ氏の当選で持ち株が上昇した結果、わずか3日で約7兆円の儲けが出たという。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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