国民民主党の玉木雄一郎代表は12日の記者会見で、写真週刊誌「FLASH」が報じた不倫問題への責任の取り方について「議員としては活動を継続させていただきたい」と述べ、議員辞職の考えがないことを改めて強調した。近年は、不倫が発覚した国会議員が議員辞職するケースも増えている。 玉木氏は、相手の女性との交際に政治資金を使っていなかったかとも問われたが、「そういった宿泊には一切使っていない」と否定した。(佐藤裕介、宮尾幹成)

記者会見で不倫問題について質問を受ける国民民主党の玉木雄一郎代表=11月12日、国会内で(佐藤裕介撮影)

不倫が党の倫理規則に違反するのではないかとの質問には、「(党の)倫理委員会の判断を待ちたい。対象者の私が、当てはまるかどうか言う立場にない。客観的に、中立的に判断をいただきたい」などと答えた。

国民民主党倫理規則 第2条(倫理規範)
1. 本党に所属する党員は、次の各号に該当する行為・言動を行ってはならない。
 一、汚職、選挙違反及び政治資金規正法令違反並びに刑事事犯等、政治倫理に反し、または党の品位を汚す行為・言動

女性と会う際に政治資金を使っていたかについては、全面的に否定。地元・香川県の自宅が高松空港から1時間半くらいかかるため、到着が遅くなった場合や翌朝の日程が早い場合には高松市内のホテルを利用していたとしていたと説明し、「自宅の代わりだということで、公私を明確に分けて、ポケットマネーで歳費の中から支払うことを徹底してきた」と強調した。 玉木氏の不倫相手とされる女性について、高松市が観光大使の解職を検討しているとの一部報道についても見解を問われたが、「事実関係を把握していないのでコメントは差し控えたい」と話すにとどめた。

◆「制裁を下せるのは宇宙でたった1人、妻だけ」

榛葉賀津也幹事長(左)と言葉を交わす玉木雄一郎代表=11月11日、国会内で(宮尾幹成撮影)

玉木氏の不倫報道について、国民民主党内から表立った批判は出ていない。11日の両院議員総会では、榛葉賀津也幹事長の説明によると、玉木氏の代表続投について異論は出なかったという。 総会に出席していた伊藤孝恵参院国対委員長は11日、自身のX(旧Twitter)で「最低だ。国会が“対決より解決”の政策論議を取り戻せるかもしれない千載一遇のチャンスに何やってくれてんだよ」などと批判しつつ、「自分の一番近くにいる人を裏切り、悲傷の渦中に突き落とした者は相応の制裁を受けるべきだ」「しかし同時に…それを下せるのは宇宙でたった1人だけ、妻だけだとも思う」ともつづった。

◆榛葉幹事長「玉木なくして、この党はなかった」

旧・国民民主党にいたベテラン議員の大部分が2020年に結党した新・立憲民主党に加わり、現在の国民民主党は玉木氏の「ワンマン政党」化しているとの見方もある。

女性問題を受けて文部科学政務官を辞任し、報道陣の取材に応える山田太郎参院議員=2023年10月26日、国会内で(朝倉豊撮影)

立憲民主党関係者は、前原誠司衆院議員(現在は日本維新の会所属)、大塚耕平元参院議員(名古屋市長選に立候補するため11月5日に辞職)、岸本周平元衆院議員(現・和歌山県知事)ら玉木氏より政治キャリアが長い先輩や初当選同期が国民民主党を去ったことで、「玉木代表にものを言える人がいなくなってしまったのではないか」と指摘する。 玉木氏より当選回数が多く、閣僚経験もある重鎮・古川元久国対委員長も、今回の問題について特段の発信はしていない。11日に国会内で報道陣に問われても、「代表の話だ」としてコメントを避けた。 党内で古川氏に次いで国会議員歴の長い榛葉幹事長は「趣味は玉木雄一郎」と公言してきた。11日の両院議員総会後の記者会見では、「われわれは何度も玉木代表に助けられた。玉木なくして、この党はなかった」とかばった。

◆菅野志桜里氏「玉木さん辞任とならずよかった」

一方、かつて国民民主党所属の衆院議員だった菅野志桜里弁護士は12日、自身のFacebookで「政治家のプライベートを進退に直結させると、『そして誰もいなくなった』になってしまうから、政策実現・政治改革のためにも、玉木さん辞任とならなくてよかった」「政治家に限らず、私生活を理由に問答無用で職業人がキャリアを奪われるようなキャンセルカルチャーも、日本の活力をどんどん奪っていく」と指摘した。 菅野氏も2017年に自身の不倫疑惑が週刊誌に報じられ、内定していた民進党幹事長のポストが白紙になり、離党に追い込まれた過去がある。

◆「憲政史上初」だった宮崎謙介氏の議員辞職

議員辞職を表明し、頭を下げる宮崎謙介衆院議員=2016年2月12日、国会内で(佐藤哲紀撮影)

政治家の不倫を巡っては、自民党の宮崎謙介衆院議員が2016年に自身の不倫が報道されたのをきっかけに議員辞職。不倫を理由にバッジを外した憲政史上初めてのケースとされる。自民党の宮沢博行衆院議員も2024年4月、自身の女性問題の発覚を受けて衆院議員を辞職している。 2018年には、新潟県の米山隆一知事(現・立憲民主党衆院議員)が買春疑惑を報じられたのをきっかけに辞職した。自民党の山田太郎参院議員は2023年、女性問題を受けて文部科学政務官を辞任した。 玉木氏は12日の記者会見で、国民民主党が少数与党の石破政権との交渉によって年収103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」などの引き上げを目指していることを踏まえ、「何とか国民の皆さんの期待に応えていきたいし、失われた信頼回復にも貢献していきたい」と話した。 

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