国民民主党の玉木代表が「年収の壁」の見直しをめぐる議論で、総務省が全国知事会に工作していると発言。
村上総務相が反論すると、国民・榛葉幹事長が再反論するなど、混乱を招いている。
“年収の壁見直しに反対するよう工作”
国民民主党・玉木雄一郎代表が口にしたのは、総務省の気になる動きだ。
玉木代表は民放のテレビに出演し、総務省から全国知事会や各自治体の首長に対して工作をしている、といった趣旨の発言を行った。
“103万円の壁”の見直しを訴える玉木代表は13日、総務省が“壁の見直し”で税収の減るおそれがある地方自治体側に対し、“年収の壁見直しに反対するよう工作している”と指摘した。
要するに、総務省による“根回し”だ。
さらに、村上誠一郎総務相の関与にも触れ、大臣が自ら、全国知事会の村井会長などに連絡し、“発言の案”を示していたと怒りをにじませたのだ。
総務相否定も総務省の知事会との接触は認める
村上総務相は、実際に村井会長に働きかけたのか。
会見では、質問が相次いだ。
ーー(記者)実際に大臣から働きかけがあったのか?
村上総務相:
村井会長に発言の依頼を行った事実はまったくない。
ーー(記者)総務省として働きかけはまったく行わない?
村上総務相:
私は総務省を信じているから、ないと思っている。
村上総務相は働きかけを否定し、「私は発言要領について見たこともないし、依頼したことも全然ないので、なんで玉木さんがこういうことを言ったのか、私は残念ながら理解できない」と、玉木代表の発言に疑問を呈した。
一方で、「全国知事会との意見交換の一環で、基礎控除の制度概要などの説明を行った」とも話し、総務省が知事会と接触していたことは認めた。
全国知事会の村井会長も14日、“玉木発言”を否定した。
村井嘉浩・宮城県知事:
少なくとも総務省から私に何かアプローチがあったということはない。大臣も、私に直接そういった話はまったくございません。
群馬・山口両県知事は引き上げに反対の声
所得税がかかり始める“年収の壁”を、「103万円」から「178万円」に引き上げるよう求めている国民民主党だが、政府は、国と地方の税収が約7兆6000億円減ることに懸念を示していて、反対の声を上げる知事も少なくない。
山本一太・群馬県知事:
群馬県と市町村の合計が約830億円減収となる。身近な行政、サービスに大きな影響が出ないとは到底言えない。
村岡嗣政・山口県知事:
県と市町村をあわせると、400億円の減収ということになる。それを地方で何とかすると言っても、これはできる規模ではない。
国民・榛葉幹事長「複数の筋から確認」
“総務省の働きかけ”を指摘した、玉木代表の発言を真っ向から否定した村上総務相。
それに対し、玉木代表の“右腕”・国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「村上誠一郎も、丸め込まれちゃったな。あの人、戦う人だと思ったら…」とぼやいた。
“趣味は玉木雄一郎”と言い切る、国民民主党の榛葉幹事長。
村上総務相に、次のように反論した。
国民民主党・榛葉賀津也幹事長:
総務大臣はすぐ否定していたけど、われわれは今週の初めに大臣から全国知事会に連絡を入れているという、複数の筋から確認がされている。私は(依頼は)あったんだろうと思う。
自民党は15日、会合を開き、「103万円の壁」の見直しについて、検討を急ぐ方針を確認した。
さまざまな思惑がからみ合う中で、壁の見直しをめぐる議論は、来週本格化する。
(「イット!」11月15日放送より)
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