兵庫県議会から不信任決議を受け失職した斎藤元彦前知事(47)は出直し選で返り咲いたが、県議会や職員との関係改善が最大の課題となる。斎藤氏のパワーハラスメント疑惑などを告発した文書問題に関する県議会の調査特別委員会(百条委)は究明を続ける方針で、波乱含みの県政運営となる可能性がある。
「県民の議会への不信任と捉えるべきなのか考えるところはあるが、一議員として筋を通した行動をしたい」。落選した新人の稲村和美氏(52)を支援していた自民党県議は、斎藤氏と議会の対立がさらに深まる可能性を示唆した。
文書告発問題が知事選にまで発展したのは、県議会(定数86)が9月、全会一致で不信任決議を可決したためだ。百条委はその後も継続し、10月下旬にも関係者を証人として尋問したが、知事選への影響を考慮して非公開で実施。18日には斎藤氏に再度出頭を求めるかなどを協議する予定で、年度末までに調査結果の報告書を作成することを目指す。
委員を務める自民県議は「県庁を風通しの良い職場にするための具体策は斎藤氏から示されていない。百条委や議会では、その点を詰めていかないと政策の議論はできない」と追及の手を緩めない姿勢だ。
一方、県職員は知事が不在となる事態でも、2025年度の予算編成に向けて準備を進めている。編成には知事の査定が必要なため、斎藤氏には県職員との関係改善も求められる。
百条委が実施した県職員アンケートでは、約4割が「パワハラを見聞きした」と回答。百条委で机をたたいたり付箋を投げたりしたことを認めた斎藤氏は、街頭演説で「改めるべきは改める」と繰り返した。
大声で叱責を受けたことがあるという職員は「一旦厳しくなった人間関係はそう簡単に再構築できない。不安に思う職員は多いはずだ」。別の幹部職員は「(斎藤氏の)『生まれ変わる』という言葉を信じて仕えるしかない。幅広い職員と意見交換をすることで、トップとの一体感が生まれることを期待したい」と述べた。【山本康介】
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