兵庫県議会から不信任決議を受け失職、出直し知事選で返り咲いた前知事、斎藤元彦氏(47)は、SNS(ネット交流サービス)の支援の広がりが再選の原動力となった点を強調した。熱狂的なネット世論が追い風となり、街頭演説には連日多くの人が集まった。不信任決議を受け失職した知事が再選されたケースは2002年の田中康夫・元長野県知事以来、2例目。2期目の斎藤県政は19日にスタートする。
当選確実の報を受けた斎藤氏は17日夜、神戸市中央区の事務所で支持者を前に「もっと改革をして県政を前に進めてほしい、躍動する兵庫の歩みを止めないでほしいという期待をいただいた」と振り返った。
自身のパワーハラスメント疑惑などを巡る文書告発問題が発端となった出直し選では、SNSを積極的に活用し、勝手連的な支援者のつながりが生まれた。「選挙戦は一人からのスタートだった。支援がここまで広がるとは思っていなかった。SNSを通じていろんなつながりを持たせてもらった。本当に大きな支えになった」とかみしめるように語った。
再選を祝って事務所を訪れた中央区の50代女性は「もともと政治に興味はなかったが、(政党など)既得権益と一緒になって(文書告発問題で)マスコミにたたかれても毅然(きぜん)と信念を曲げない姿勢を見て応援するようになった」と興奮気味に話した。
同市西区の主婦、小林あつ子さん(46)は「ネットを見てマスコミ報道がおかしいと思った。もう一回、知事になればいい人になると思う。今まで分からなかったこともはっきりすると思う」と期待した。
ただ、選挙期間中には県内の首長の多くが対抗馬の前同県尼崎市長、稲村和美氏(52)の支持に回った。加えて、文書告発問題に対処する県議会調査特別委員会(百条委)は疑惑の究明を続ける方針で、18日夕には委員長らが記者会見で今後の百条委運営について説明する予定だ。
いばらの道となる可能性もある県政運営について、斎藤氏は「オール兵庫でワンチームでやっていくことが大事だ」とし、当選あいさつ後に出演した民放番組では「県政を進めてほしいという県民の強い期待がある。来年度の予算編成に向けて県議会との対話や議論を尽くしていきたい」と述べた。【大野航太郎、木山友里亜】
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