■「これ以上脅して自死しても困る」

出直し選に当選した兵庫県の前知事斎藤元彦さんのパワハラ疑惑などを調査する百条委員会は、今月25日の証人尋問に斎藤さんに出頭要請することを決めました。

また、百条委員会の奥谷謙一委員長は、18日の会見で、選挙期間中にNHK党の立花孝志氏が自宅前で街頭演説を行い「ひきこもってないで出て来いよ。これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」と脅迫されたと述べました。

■25日の百条委 斎藤氏の証人尋問実施

ことし3月、兵庫県の西播磨県民局長が斎藤前知事のパワハラ疑惑などを告発し、真偽を調査するための百条委員会が調査を進めてきました。

今月25日には去年実施されたプロ野球の優勝パレードや、パワハラの疑惑について証人尋問が実施される予定です。

■非公開の百条委 音声データ流出 

百条委員会を巡っては、知事選への影響を考慮し、非公開で行われた10月25日の証人尋問で、奥谷委員長が片山前副知事の話を遮ったとされる音声データが流出しました。

18日午後、百条委員会の奥谷委員長らは会見を開き、この音声データ流出について「県議会の信用にも関わる極めて憂慮すべきこと」と述べたうえで、この場を借りて深くお詫びします」と語りました。

プライバシー情報については、情報公開条例において『個人のプライバシーは最大限配慮する』と定められていること『元県民局長の代理人からプライバシーに関する取扱いの申し入れ』があったことなどから、百条委員会ではことし7月に私的情報に配慮することが決まっていました。

奥谷委員長は、片山前副知事の発言が、このプライバシー情報に該当すると判断し、発言を制止したということです。

百条委員会は、知事選への影響を考慮して非公開となっていた10月24、25日に実施された片山前副知事も含む幹部職員の証人尋問について、11月22日を目途にYouTubeで映像を公開するとしています。

■「ひきこもってないで出て来いよ。これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」

また、奥谷委員長は、兵庫県知事選の候補者であった立花氏が自宅兼事務所で街頭演説を行い「ひきこもってないで出て来いよ。これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」と脅迫されたと述べました。

【奥谷委員長】「立花氏ですけども、私の自宅の前で街頭演説を行いました。私もあらかじめその情報を友人から聞いて、母は避難してもらったんですけど、その立花氏が私の自宅兼、事務所なんですけど、家の前で街頭演説を始めたと」

「それで彼がですね、映像が残っているんですけど、『ひきこもってないで、出て来いよ』みたいなことを言っていたんですね、ですから、立花氏の認識として、事務所と登録していますけども、私の自宅であるという認識は彼にはあったということは明白であります」

「また、『これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく』と自ら脅迫目的で、この行為をしていることを自らおっしゃっているということであります」

■奥谷委員長の母は避難 帰宅後に涙

【奥谷委員長】「母には避難してもらっていたんですけど、帰ってきた時には、怖かったんだろうと思いますけど、涙を流すこともあったので、私として家族にこれだけ迷惑をかけているというのは、大変つらかったですし、同時にすごい怖い思いをしたということであります」

■「私は私的情報を一切見ていない」

【奥谷委員長】「立花氏は私が当初元県民局長の公用パソコン中にある私的情報を見て、知っているのにそれを隠蔽しようとしているというようなSNSを発信されていました。私はそういった私的情報を一切見ていない」

「何を論拠に立花氏がおっしゃっているかというと、(百条委員会の)録音データ、私が片山前副知事の証言を遮ったということをもとに、おっしゃっているということでありますけれども、私自身は一切見ておりませんが、当時の増山委員の方から、公益通報であったか否かという点で、不正な目的に関連する質問がなされていました」

「これは当然、片山氏はクーデターにまつわる話をされておりまして、当然それについては、重要な証言だという認識の元、私は一切遮っておりません」

「一旦その証言が止まった後に、明らかにさきほども申し上げましたけども、プライバシーに関連すると思われる内容の発言があったので『それは答えて頂かなくて結構です』と私の方で遮りました」

■「私的情報を知っていて隠ぺいとの情報は明らかなデマ」

「ところが、片山副知事の方は『これは答えさせてもらう』ということで、私の制止を振り切って証言しようとしたので、私としたらこれ以上証言をさせるわけにはいかないという判断のもと休憩をさせて頂いたということであります」

「この百条委員会のやり方については、当然質問されていた委員の方からも、『証言を遮らないで下さいよ』という異議も出ておりませんし、他の委員からも、一切異議は出ておりませんので、私としては、当然適切な運用をしたまででありまして、決して私が私的な情報を知っていて、それを隠蔽しているということは明らかなデマだということを申し上げたいと思います」

■「マスコミに圧力し『隠ぺい』できるはずがない」

「私がマスコミの皆さんに圧力をかけて隠蔽しようとしていると、こういう発信もされていました。一地方議員がマスコミにそんな圧力をかけられるはずもなく、『そんなこと書かないでくださいね』と言ったところで、それはマスコミの判断で記事にするかどうかはメディアの判断でされると思います」

「実際に私がこういった内容を載せないでくれとかそういったことをマスコミ、報道関係者に言った覚えは一切ありません」

■「元県民局長が亡くなった理由を知事のパワハラのせいに。全くのでたらめ」

「それから私が元県民局長が亡くなった理由を斎藤知事のパワハラのせいにしようとしているとそういう発信もありました。これは全くのでたらめでありまして、私は百条委員会の委員長として、真相解明に向けてしっかりと仕事をしてきたということであります」

「私が不正に関わっているようなことを匂わせるような、感じでですね、私が元県民局長と亡くなられる生前に連絡をとっていたというような発信もされていました」

「これは、元県民局長の方から、私に対して、代理人を通じて私的な情報に配慮してほしいという申し入れをしたので、『よろしくお願いします』というショートメールが来て『わかりました』と、『また弁護士を通じて連絡します』というやり取りをしました」

「それだけのことでありまして、このことについては、元県民局長が亡くなられた直後の記者会見でも、そのことを申し上げておりますので、一切何かそんな変なことがあるとかいうことはない」

■「内部通報を県が発表、遮ったとの情報も真っ赤なウソ」

「内部公益通報がされて、それを当局の兵庫県が発表しようとしていたのに私がそれを遮った、公表を遅らせたということも言われているそうです」

「これについては真っ赤なウソ、でたらめでありまして、そもそも、内部公益通報の公表というものはされないと、公益通報をしたご本人にしか、その結果は伝えられないと」

「ただ、何かしら是正措置をとって完了したときに、県としては、そういったものを公表することができるという規定になっております」

「私は一切公表を遅らせてくれとか、そういったことは一切言っておりませんので、これも皆さんにお伝えしたいと思います」

■「本当に怖い」

「SNSを通じてデマが非常に広がっていくということは本当に怖いということは率直に思いました」

「SNSで立花氏が『奥谷を探せ』みたいなことで、SNSを入れて行動監視をされているようなこともありまして、これはかなり恐怖を抱きました」

「有馬の宿泊施設にいるとか、私は行っていないのに、そういうでたらめな情報がどんどん広がっていくという、このSNSの怖さを今回の選挙戦を通じて身に染みたなというところであります」

■百条委の委員が辞職「ネットの暴力。家族も狂乱状態に」

「私の考えとすれば、一定程度具体的な事実を示して、名誉棄損していると思いますので、厳正な対応をしていきたいと思います」

「私は母と自宅に住んでいますが、大変強い恐怖心を抱いておりまして、しばらく母に自宅を変えてもらったということもあり、私も家族のことが心配ですから、日常とは違う生活をせざるを得なくなりました」

百条委員会を巡っては、18日、委員を務めていた竹内英明県議が議員辞職しました。

竹内県議が辞職した理由について、百条委の会見に出席した上野英一委員は「選挙を通じて、言葉の暴力、ネットの暴力、これが拡散して本人だけではなく家族も狂乱状態にまでなってしまった」

「その中で本人は家族を守ることを優先すると。奥さんが錯乱状態で『政治の道から退いてほしい』という訴えがあった。彼ほど優秀な議員はなかなかいない。その優秀な議員を追い込んでしまう今回のネットの怖さ、それを武器として使う選挙の怖さ」

「マスコミも既得権益といわれるが、大手のマスコミには報道倫理ある。ネットには報道倫理は全くない。この問題をきっちりしないと、兵庫県知事選挙だけでなく日本の政治そのものがゆがんでしまう」と述べました。

■NHK党の立花氏との連携 否定した斎藤氏

出直し選で再選を果たした斎藤さんは選挙戦で、約400人のデジタルボランティアの支援を受けるなど、SNSでも支持を広げました。

17日には、関西テレビの取材に対し、NHK党の立花氏と連携していたかと問われた際「全くなかった」と否定しました。

Q:斎藤さんが演説をされた後に、NHK党の立花さんがやってきて、演説をするパターンが何度か見られた。連携していたのか?

【斎藤元彦さん】「全くないです。立花さん自体も全く存じ上げてなくて、討論会で一度ご挨拶をさせていただいただけでした。自分は自分のやるべき街頭活動とか、駅立ちをさせていただいたというだけです」

■立花氏が斎藤氏を応援するSNS「見る余裕はなかった」と斎藤氏

Q:立花さんはSNS上でも斎藤さんのことを応援していた。立花さんの支持者も投稿しているように見受けられたが、投稿は目にしたか?

【斎藤元彦さん】「正直、私は自分の選挙で毎日必死でしたので、そういった投稿を見る余裕はなかったですね」

■「民意を得た。職員は一緒にやることが地方公務員の責務」

また、斎藤さんは「民意を得た。職員は一緒にやることが地方公務員の責務」と語りました。

【斎藤元彦さん】「やっぱり今回民意を得て、再び兵庫県知事選挙で知事として就任させて頂きますんで、民意を受けた立場でもありますから、職員の皆さんはやはり知事部局として、そこを一緒にやっていくっていうことが、地方公務員としての責務なので」

「もちろん僕もコミュニケーションとか、仕事で連携していくことは当然ありつつも、やっぱりそこは、ひとつのチームとして皆が一緒にやっていかなければならない」

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