大阪維新の会代表に再選され、記者会見する吉村洋文氏=大阪市中央区で2024年11月19日午後8時25分、鈴木拓也撮影

 地域政党・大阪維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は19日、任期満了に伴う代表選に立候補し、再選された。住民投票で2度否決された「大阪都構想」について、2026年11月までの代表任期中に、新たな制度案づくりに取り組むと表明した。半年から1年程度かけて、大阪維新としての制度案をつくるという。

 吉村氏は代表選で「副首都大阪を実現する以上、都構想の案についてもう一度みなさんと一緒に考えたい」と発言。「3度目の都構想に挑戦しますという宣言ではない」と政治集団内部での検討だと断った上で、「3度目に挑戦するのであれば、民主的なプロセスが必要だ」と述べた。

 代表に再選されると、「民主的なプロセスを経ることなく、住民投票をするとか、法定協議会を立ち上げることは考えていない」とし、作り上げた制度案をどうするかは未定だとした。制度案は都区制度を前提に、対象地域も「ゼロベース」で検討するという。

 大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」の実現には、大都市地域特別区設置法に基づいて設置する法定協議会で協定書(制度案)を作成。府・市両議会の承認を経て、住民投票で賛成多数となることが必要。

 市では15年と20年に住民投票が行われ、いずれも否決された。吉村氏は20年11月、2度目の住民投票が否決された際、「政治家として都構想には再挑戦しない」と明言していた。吉村氏は代表再選後の記者会見で、この発言について問われると、「その考え方は変わっていない」と釈明した。

 2度の住民投票当時、維新は市議会で過半数の議席を持たず、公明党の協力を得て住民投票を実施。その後、23年の統一地方選で府・市両議会で過半数を獲得した。吉村氏の代表任期中に協定書が作成され、両議会に提出されれば、維新単独で承認できる。

 都構想反対の立場で論陣を張ってきた自民党の柳本顕・前衆院議員は、取材に「話題性のためだけの何物でもなく、ナンセンスだ。実現可能性を考えても維新の政治的位置付けを高めることに奏功する局面ではない」と切り捨てた。【東久保逸夫、鈴木拓也、長沼辰哉】

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