17日にスタートした日本維新の会代表選(12月1日投開票)。“改革政党”として、確固たる存在感を見せてきた日本維新の会。
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始まりは今から12年前、当時の橋下大阪市長を中心に誕生した。まず注目されたのは、大阪府と大阪市の二重行政を廃止し、権限と予算を一元化する 「大阪都構想」。住民投票で否決されたが、 地域行政の在り方に一石を投じた。その後紆余曲折あって現在の体制になり、2018年には大阪・関西万博の開催が決定。さらに2021年の衆院選では大躍進で、野党第2党に。支持率でも一時、野党第1党の立憲民主党を超えるなど、党勢は拡大した。
一方で、大阪・関西万博については、予算超過や反対運動などで逆風に立たされている他、10月の衆院選では6議席減、兵庫県知事選挙では推薦を見送った中で、斎藤氏が再選をはたした。。そんな中で、”党の次なる顔”に名乗りを上げたのは、金村龍那衆院議員、空本誠喜衆院議員、松沢成文参院議員、吉村洋文大阪府知事の4名。『ABEMA Prime』では、リーダー候補らと共に、衆院選での敗因を振り返りながら、党の目指す方向性について議論した。
■衆院選での敗因は?
日本維新の会が6議席を減らしてしまった結果について、教育無償化を掲げる空本氏は「比例区がボロ負けだった。中国ブロックは比例区が全く取れなかったから、戦い方を変えて、無所属のような戦い方しかなかった。議席を取るためには選挙区で勝つしかない。最近、地方は特に維新が嫌いという方が増えている。そこをもう一度維新は、国家観、維新は何を目指しているのか。20年後、50年後、どういう国に作り変えるのか。そして革新政党ではない、守旧派の保守政党でもない、改革をする保守政党としての立ち位置を示してこなかったことが敗因かと思っている」と振り返る。
元議員秘書、財源・権限の地方移譲を掲げる金村氏は「維新は自民党の補完勢力に見られたり、昨年の段階で万博にアゲインストが入った。そして、自民党の補完勢力と思われたまま、国会が閉じて、兵庫県知事の問題が起きてしまった。そういう中で維新の人気が停滞していったことは事実だと思う。また、比例票は全国でたくさんあるが、維新と国民を足した数は前回と同じ1100万だ。第三極と呼ばれる政治から縁遠い人たちの中で自分たちの暮らしをしっかり届けたい、政治に声を届けたいという声は、前回は維新が多かったが、今回は国民にいってしまった。その原因の一つが広報戦略、PRがうまく行かなかった」ことだと話す。
前神奈川県知事の松沢氏は「現実問題を考えると、うちは候補者難だ。小さな政党で、自民や立憲に小選挙区では勝てない。だから候補者を公募するが、その人たちは政治素人だ。駅頭での演説の仕方を知らない、友達が一人もいないという人も出てくる。人材育成システムを作って、政治塾や政策の勉強、あるいは政治のネットワークを作るにはどうしたらいいかなど、政党の人材育成機能を持たないといけない。そこが維新の最大の課題だ」との見方を示した。
大阪府知事、日本維新の会共同代表の吉村洋文氏は、前提として「大阪がすごく勝ったという話だが、実態はちょっと違っている」という。「むしろ全国では『大阪もどうなのか』とある中で、『自民党よりましだよね』という選択の受け皿にギリギリなれた。最初、大阪の選挙区も負けているところは結構あった。今まで応援で大阪に張り付くことはなかったが、今回は最後に張りつくことになった。それで、(大阪では)なんとか受け皿になれた。自民党が過半数割れして、あれだけ問題がある自民党と維新はほぼ一緒だよね、自民も維新にも投票しない、だから受け皿は国民や立憲、他の政党に行ったんだと思う。自民党と維新は本質的に違う。そこのアイデンティティやパーパスをもう一回確認しないといけない」。
兵庫県の斎藤知事をめぐっては、「(維新では)真実を見極めようと言っていた。ただ、関西、兵庫の維新のメンバーはこの影響を受けるし、実は関東のメンバーからも声が上がり、なんとかしないといけないという切実な思いが維新の中にあった。最終的に不信任を出すという結論を出した以上、候補者を立てた。結局その方も維新公認から出なかったので、維新の候補者はいない状態での結果になった。一言では語りにくいが、衆議院選挙に影響があったのは間違いないと思う」と説明した。
■馬場代表が掲げた「全国政党化」 ガバナンスは?
馬場代表が掲げた「全国政党化」については、18日の候補者討論会では、金村氏は「維新が定着していないエリアでも戦える」、空本氏は「全国政党として過疎化や少子高齢化を議論」、松沢氏は「全国政党として再生させなければ意味がない」と推進。一方で吉村氏は「全国に候補者を立てても厳しい結果になる」と慎重な考えを示している。
吉村氏は「維新の会の問題点の一つにガバナンスが非常に弱い。だから今回の代表選では、ガバナンス委員会というのも作って、党としてのガバナンスを確立させることを公約の一つとして掲げている。政党法の先取りのようなものをきちんと立てて、政策の意思決定の仕方も含めて、きちんとガバナンスが効くようなルール、コードを作っていく必要がある」との考えを述べた。
空本氏は「やはり地方議員をたくさん増やして、大阪維新ではなくて、日本維新の会として全国政党化させる。4人の候補者全員が同じ方向性だ。ならば、特に大阪以外の地方議員の声をもっとすくい上げてくれるような仕組みにしない限りは、この党の再生はないと思う」と話す。
金村氏は「地方議会の皆さんは、地方議員と国会議員が縦型、つまり上と下の関係ではなく、横軸の関係という理念に共感して、維新を選んでいる人も多い。それを超えて、国会議員が頂点としたピラミッドではないという理念の中で、国政政党と地方、例えばそこのガバナンスはかなり矛盾していく。だから僕は道州支部を作ろうという話を今回している。多分、吉村さんが言われているガバナンスだけで、まさに議員一人ひとりの、元々維新に共感した理念と違う構造がはまった時に、難しいと思っている」との見方を示した。
松沢氏は「うちは吉村さんに頼り過ぎだと思う。大阪府知事で、万博やるのも大変なのに、大阪維新の会という地域政党の代表、そして今度は日本維新の会の代表になったら、これは一人で抱え過ぎだ。三足のわらじを履いちゃっている。吉村さんの人気だけに頼るのではなくて、私に分権してくださいと。知事経験のある日本維新の会、東の松沢と、知事をやっている大阪の吉村と2人でこの党を引っ張ろうという提案をしている」。
対して、吉村氏はリーダーの役割で重要なことについて、「決断して、実行して、方向性を決めること」だといい、「全て自分でやるなんて到底できない。もし日本維新の会の代表になれば、当然、国会で活動する共同代表を立てるし、それぞれの役割分担のメンバーも立てる。全部自分で抱え込むつもりはないが、リーダーの役割は党の方向性や考え方、きちんと発信して決めていくことだ」と述べた。
■「嫌われてもいいので次の世代を考えた政治をする」
TikTokerでYouTuberのYunaは「すごい失礼な言い方をしてしまうと、ガバナンスなど内輪の話になってしまっている気がして、投票する人にはあまり関係ないかと思う。実際、維新の会は何をしたいのかわからない」と投げかけた。
空本氏は「私たちが求めるものは、生活実感のある政策を打ち出すこと。それと20年、30年後の未来図を打ち出す。このままだと若い方々が70歳くらいまで働かなきゃいけない。そうなった時に、社会保障がどうあるかを提示するのが私たちの役目じゃないかと思っている」と話す。
吉村氏は「次の世代のことを本気で考える政党は、今ないと思っている。僕らは嫌われてもいいので次の世代を考えた政治をする。支持されないかもしれないけれど、そこのキーとなるのは社会保障だと思っている。僕は知事も市長もやってるから、社会保障がどれだけ硬直的かわかるが、若い人も薄々気づいてる。でも、誰もそこにメスを入れない。そこで一点突破をした方がいいと思ってるぐらいだ。今は嫌われるかもしれないけれど、 将来見た時に『あの時、日本維新の会があってよかったよね』と子供や孫たちに言ってもらえるようなこと。それをやろうとするのが、最後の維新の立て直しや存在意義に繋がる」とした。
(『ABEMA Prime』より)
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