名古屋市長選で初当選を果たした広沢一郎氏(60)は投開票から一夜明けた25日、市役所に初登庁した。職員らに向けて「風通しの良い市政を目指す」と意気込みを語り、広沢市政がスタートした。市長の交代は、広沢氏を後継指名した前市長の河村たかし衆院議員以来15年ぶり。【真貝恒平】
広沢氏は午前8時半ごろ、同市東区の事務所で、河村氏と一緒に取材に応じた。広沢氏は「河村さんから受け取ったバトンは非常に重い。それを持ったまま、自分流にどう実現できるか模索していきたい」と決意を述べた。
市長選で39万票以上を獲得したことについて、「無党派層にどれだけアピールできるかの戦いだった。ここまで票をいただけたのは本当にありがたかった」と振り返った。公約に掲げた市民税の10%減税について「来夏から詰めていき、26年度予算には組み込みたい」と話し、自身の市長給与削減は「2月の定例会で諮りたい」と意欲を見せた。河村氏は「市民への愛で市役所の中で頑張ってほしい」とエールを送った。
この後、市役所で、市選挙管理委員会の渡辺義郎委員長から当選証書を受け取った広沢氏は「市民の負託が詰まった証書は重い。早く仕事がしたいという気持ちでいっぱい」と笑顔で語った。
続いて行われた初登庁セレモニーでは、庁舎前に集まった多くの職員らが新市長の広沢氏を拍手で出迎え、花束が手渡した。広沢氏は、幹部職員ら約300人を前にした訓示で「新しいアイデア、改善点を出して、風通しの良い市政にしたい」と力を込めた。
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市長選では、市議会の主要会派が対立候補の大塚耕平氏(65)の支援に回り、河村市政から続く市議会との対立が注目されている。
広沢氏はこの日、各市議団の控室を訪ね、団長らにあいさつして回った。面会後、広沢氏は「前向きな議論をして、『共に市民のために頑張っていきましょう』と話をした。丁寧な説明を心がけ、一致点は見いだせる」と強調した。
最大会派、自民党市議団の藤田和秀団長は報道陣の取材に対し、「戦略上、相手方の方が勝っていた」と選挙戦を振り返り、「(河村氏の)態度ややり方を踏襲すると市民も議会も混乱するので、今後のやり方を見極めた上で是々非々で判断していきたい」と広沢氏をけん制した。
民主市議団の小川俊之団長は「市長選の敗因は今後検証していく。市政に関しては今まで通り二元代表制の一翼を担う議会として是々非々で向き合う」、公明党市議団の沢田晃一団長は「新市長には真摯(しんし)な議論に応じていただけることを期待したい」、減税日本ナゴヤの田山宏之団長は「公約の実現に向け、市民の期待に応えられる施策をしっかり提案してほしい」、共産党市議団の田口一登団長は「河村前市政に続き厳しく対決していく」とそれぞれコメントを出した。
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